正社員と同じ仕事をしているのに手当などに格差があるのは違法だとして、日本郵便の男性契約社員8人(うち1人退職)が同社に計約3100万円の支払いを求めた訴訟の判決が21日、大阪地裁であった。内藤裕之裁判長は請求の一部を認め、扶養手当、住居手当、年末年始の勤務手当の不支給は不合理な労働条件の相違に当たるとして同社に計約300万円の賠償を命じた。
2013年施行の改正労働契約法は、正社員と非正社員の間で業務内容や責任の程度、配置転換などを考慮し、待遇に不合理な違いがあってはならないと規定。原告代理人の弁護士によると、同法に基づき契約社員に扶養手当の支給を認めた判決は初めて。
日本郵便を巡る同種訴訟で、東京地裁は17年9月、年末年始の勤務手当、住居手当などがないことを不合理と認定。大阪でも一部の待遇格差を不合理とする判断が続いたことで、政府が実施を目指す「同一労働同一賃金」の議論にも影響する可能性がある。
判決は扶養手当について、契約社員が家族を養う負担は正社員と変わらず「職務内容などの違いにより必要性が大きく左右されない」と指摘。住居手当は原則として転居がない「一般職」の正社員に支給されていることから、不合理な格差と判断した。年末年始の手当も「業務内容に顕著な相違はない」として支給すべきだとした。
東京訴訟の判決は、手当支給が正社員の長期的な勤務への動機づけになる点などを踏まえ、損害額は住居手当で正社員の6割、年末年始勤務手当で8割としたが、大阪の判決は扶養手当を含め正社員と同額を認めた。東京訴訟では原告に対象者がいなかったため、扶養手当は請求していなかった。
判決などによると、原告8人は1998~2010年に採用され、大阪府、兵庫県、広島県の郵便局で時給制や月給制の契約社員として勤務。今回認められた手当のほか、ボーナスの算定方法や休暇の有無など7項目の格差解消を求めたが、判決は「職務内容や責任に差がある」などと退けた。
原告側は将来にわたり正社員と同じ待遇を受ける地位にあることの確認も求めたが、内藤裁判長は「必要性が認められない」として却下した。
日本郵便は「判決内容の詳細を確認し、対応を決める」とコメントした。
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