2018年6月10日日曜日

より若い層をターゲットに!思い切り若返った新カローラ

トヨタ・カローラと聞いたら、何を思い浮かべるだろうか。高齢者向け、平凡、全世界で良く売れていること……? 「信頼性とコストパフォーマンス抜群だけど、働き盛りの自分には合わない」と思っている人は、ショックを受けるだろう。生まれ変わった12代目のカローラは、そうしたイメージを覆そうとしている。

驚くことに、トヨタ広報によると、現行型カローラ(日本ではアクシオという車種)のユーザーの平均年齢はなんと70歳だそうだ。ワゴン版のフィールダーでも60代と聞くと、目が点になる。ハッチバック仕様はもう少し若いらしいが。

正直なところ、今までのカローラの平凡なイメージからは、どうも五感をくすぐるような刺激は感じられなかった。しかし、先日、富士スピードウェイのショートサーキットで試乗した新カローラのハッチバックは、奇跡的にそう言う古臭いイメージを消し去った。デザインが新鮮で思い切り若返っているじゃないか!

カローラは、プリウスとCH-Rが採用しているのと同様の新GA-Cプラットフォームを搭載しながらも、デザインは今までのシンプルとはうって変わって、とてもエッジが効いて、ロー&ワイドなプロポーション。「ラグビーボールをモチーフにカローラのスタイリングを行った」とカローラの小西良樹主査に説明されて、思わず微笑んでしまった。なんてオリジナルな発想だろう。


カローラの小西良樹主査

つまり、真上からクルマの造形を見ると、まるでラグビーボールのようだ。2015年に日本のラグビーチームが強敵南アフリカに逆転勝ちした奇跡は、まだ多くの読者の記憶に残っているだろうから、ラグビーボールのたとえは、アクティブなライフスタイルを送る若いファミリー層にアピールできるはずだ。

カローラがやろうとしていることは、まるで映画「べジャミン・バトン」でブラッド・ピット演じる主人公がだんだんと若返るストーリーみたいだ。さあ、ユーザーの年齢層をどの程度若返らせられるだろう。

正直なところ、今回思い切り若返ったのは、外観だけではない。ハンドリングもパワートレーンも、それに室内の雰囲気も、若返ったと言うか、よりスポーティになった。

さあ、試乗だ。まだ発表前、カローラを人目に触れさせてはならないタイミングで、隠れた富士SWでプロトタイプを試乗させてもらうことになった。用意されたのは3タイプ。1.8リッターエンジンにモーターを組み合わせたハイブリッドシステムは、プリウスと同様のユニットだ。

もう1タイプは1.2リッターターボ。ハイブリッドはCVT車、ターボはCVT車とMT車、つまり3種類。まずはターボのCVT車に乗ってスタート。エンジンをかけたら、なんて静かになったんだとびっくり。上質感をあげるために、吸音材をかなり使っているらしい。

1.2Lのターボと聞くと、パワーが若干足りないのかなと思ったけど、このクラスには十分パワー感があった。ターボラグもほとんどなかったし、CVTのエンジンとの相性がいい。

「iMT」と名付けられた6速マニュアルトランスミッションが組み合わされたモデルのターボ車にも乗ってみた。シフトダウン時にブリッピングが入ると言われたけど、変速が終わる頃に回転数が上がるので、それほど効果を感じなかった。普通にヒール&トウで走った方が楽しいだろう。

一方、プリウスと同仕様の1.8LのハイブリッドとCVT仕様のカローラは軽い分、走りが軽快でキビキビしている。センターコンソールのスイッチで走行モードを選べる。ターボ車には電子制御のアダプティブ・バリアブル・サスペンション・システム(AVS)が備わっていて、モードはECO、COMFORT、NORMAL、SPORT、SPORT S+の5段階。

ここはサーキットだから当然、ステアリングや加速性の反応が鋭くなるというSPORT S+をセレクトした。

最初のコーナーに差し掛かった時に気づいた。今までのカローラは、ハンドルを曲げても真っ直ぐ進みたがる弱アンダーステアが目立っていたの対して、新カローラにはそれがない!  嬉しいことに、ニュートラルステアだ。

しかも、ステアリングの手ごたえや重さは適度で、前輪駆動のカローラの鼻先をコーナーの奥に向けても、車の姿勢が安定されつつ、後輪も綺麗についてくる。直線で約100km/hに達したけれど、フルブレーキングで減速してキュッと左に方向を変えると、鼻先は思い通りに向きを変えてボディロールを抑えたままコーナーをクリアしていく。

より若いユーザーをターゲットにするということで、室内も若返っていた。内装の質感は現行型よりワンランク上だし、シートにはふんだんなステッチを効かせたりツートーンの選択肢もある。速度計の中の色鮮やかな5モードの選択も格好いい。

新カローラは言うまでもなくスポーツカーではないけど、ルックスがヤングで今までにない楽しい走りができると言う点で、ユーザー層はかなり若返らせられる予感がする。数年前から、豊田章男社長が言っている「平凡さは退場せよ!」が、いよいよ効いてきたようだ。

国際モータージャーナリスト、ピーター・ライオンが語るクルマの話
「ライオンのひと吠え」 過去記事はこちら>>

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