ガソリン価格が2カ月ぶりに下落した。春以降の高値で需要が落ち込むなか、原油の値下がりで石油元売り各社が相次ぎ卸値を引き下げた。販売量確保に向け、給油所も値下げに動いた。消費者の買い控え姿勢は根強く、当面は値上がりしにくい環境が続きそうだ。
資源エネルギー庁が13日に発表した11日時点のレギュラーガソリンの店頭価格(全国平均)は1リットル152円。前週に比べ0.1円下がった。値下がりは4月上旬以来。JXTGエネルギーなど石油元売り各社は前週、卸価格を1~1.5円引き下げると通知していた。
ガソリン価格は主要産油国の協調減産による原油高を背景に、昨年夏から上昇が続く。前年同期に比べ20円(16%)高く、約3年半ぶりの高値圏にある。
値上がりが消費を冷やしている。4月から5月は春の行楽シーズンの需要期にあたるものの、石油連盟(東京・千代田)によると4月初めから6月9日までの累計出荷量は前年比で7%減った。
原油高が急ピッチで進み、多くの給油所は転嫁値上げが遅れている。原油高が特に進んだ4月以降、元売り各社による卸値の引き上げ額は合計10円強に達する。これに対し全国の平均小売価格の上げ幅は9円弱にとどまる。
利幅の縮小で「値下げしたくても下げられない」(千葉県内の給油所)といった意見も根強い。それでも前週から下がった地域は東京や北海道など19都道県と、前回調査(3県)より増えた。「1リットル150円を超えると客足が遠のくので下げざるを得ない」(九州地方の給油所)など、値引きで需要喚起に取り組まざるを得ない状態だ。
22日に控える石油輸出国機構(OPEC)の総会では、主要産油国の間で減産緩和が議論される見通しだ。一時的に原油が安くなる可能性もありガソリン価格の上昇余地は当面限られそうだ。
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