東京電力ホールディングスが14日、福島第2原子力発電所の4基全てを廃炉にする方針を明らかにした。全基廃炉は福島県や地元自治体などが訴え続けてきた悲願であり、今後は廃炉作業とともに再生可能エネルギーを中軸としたエネルギー施策が進む見通しだ。地元関係者からは評価の声が聞かれた一方、「もっと早く判断できたのでは」との意見も上がった。
同日、東電の小早川智明社長は内堀雅雄知事と会談し、「このままあいまいなままでは復興の足かせになる」と第2原発の廃炉方針を伝えた。内堀知事は会談後の記者会見で、第2原発の廃炉方針について「(廃炉に向けた)重要なスタートになる」と語った。
東電は福島第1原発の廃炉作業を進めており、福島県内の東電の原発10基が全て廃炉になる。
2011年3月の東日本大震災で、第2原発は炉心溶融は免れたが、その後稼働していない。震災と第1原発の事故で大きな被害を受けた県や地元自治体などは、第2原発の廃炉も強く求め、事実上再稼働が難しい状況にあったが、経営に大きく影響することだけに東電は明確に意思を伝えることを避けてきた。
第1原発では今後、汚染水を浄化した後に残る放射性物質トリチウムを含む水の処分で地元漁業関係者の理解を得るなど大きな課題を抱える。第2原発廃炉の表明の背景には、第1原発の廃炉作業をできるだけ円滑に進めたいという思惑があったとみられる。
福島県は原発事故の直後、原子力に依存しない社会づくりを基本理念に掲げ、第2原発について12年度以降の単年度約12億円の電源立地地域対策交付金の申請を国に辞退し、再生可能エネルギーを柱としたエネルギー施策を強めてきた。
県内の需要量の約40%を20年度に、約60%を30年度に、100パーセント以上を40年ごろに再生エネで生み出すことを目指し、メガソーラーなどの導入拡大を推進している。
今後、県はこうした施策を加速するとともに、第2原発の廃炉については「現時点では方向性しか伝えられておらず、着実な履行をさらに訴えて行きたい」(エネルギー課)としている。
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東電福島第1、第2原発周辺自治体の首長からは、改めて安全、確実な廃炉作業が進むよう要望が上がった。
福島県楢葉町の松本幸英町長は「廃炉に向け一歩前進したと受け取っている。一方で、震災から7年が経過しており、もっと早い段階で判断できたのではないか」とのコメントを発表した。
富岡町の宮本皓一町長は第2原発について「廃炉そのものは想定していた」と語った上で「第1原発の廃炉を少しでも早く実現する後方支援の役割は維持してもらいたい」と注文を付けた。
大熊町の渡辺利綱町長は「地域の安全安心を考える上で評価できる。ただ、町内には険しい廃炉への道を進み始めたばかりの第1原発があり、こちらの廃炉作業が着実に前進することを求めたい」とコメントした。
体調不良により辞意を表明した馬場有町長の職務代理者である浪江町の宮口勝美副町長は「県内の原発全基廃炉に向けて、東電が表明したことは大きな一歩。第1原発の廃炉を安全に進め、第2原発の廃炉を速やかに決定してほしい」とのコメントを出した。
広野町の遠藤智町長は第2原発の廃炉方針を評価。「復興加速へ第1原発とともに早期確実な廃炉を求める」と話すと同時に「(廃炉で)雇用など地元経済に影響が出ないよう国も対応してもらいたい」と語った。
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