2017年9月21日木曜日

東芝メモリ、再出発にメドも遠い首位サムスンの背中 生産態勢の立て直し急務

 東芝の半導体子会社「東芝メモリ」は約7カ月に及ぶ迷走の末、ようやく日本側の主導で再出発するメドがついた。だが、この間にも韓国サムスン電子をはじめとする競合他社は着々と事業拡大の布石を打っている。三重県の四日市工場を共同運営し、売却差し止めを求める米ウエスタンデジタル(WD)との関係修復を含め、態勢の立て直しは急務だ。(井田通人)

                  

 韓国半導体大手のSKハイニックスが参画する「日米韓連合」への売却が決まったことで、東芝メモリは今後、SKとの関係を深めることになりそうだ。

 かつて東芝が技術を不正取得したSKを訴え、約330億円の和解金を受け取るという問題はあったが、現在の関係は比較的良好とされ、次世代メモリー「MRAM」などを共同開発している。

 主力製品であるフラッシュメモリーの世界シェアは東芝が2位で19%、SKが5位で10%。合計すれば、首位のサムスン(35%)にかなり近づく。

 もともとHDD(ハードディスク駆動装置)メーカーで、米サンディスクを2016年に買収したWDとは違い、SKは「半導体ビジネスを理解している」(東芝幹部)との安心感もある。

 東芝メモリは最先端品の「64層3次元メモリー」をサムスンとほぼ同時に量産開始した。もっとも、サムスンは生産規模や良品率を示す歩留まりで上回るとされる上、7月には新工場建設や既存工場の強化で2兆円を投じることを決め、2位以下を引き離しにかかっている。

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