政府が2019年の20カ国・地域(G20)首脳会議の開催地に大阪を選んだ背景には、政治的な思惑がにじむ。大阪は憲法改正に前向きな日本維新の会が地盤とする。改憲論議が本格化するのを前に、維新に秋波を送る狙いがあるのではないかとの指摘は多い。政府内では、開催時期を6月末~7月初旬にする方向で調整が進む。与党内では直後の参院選に弾みがつくとの期待が出ている。
安倍晋三首相は昨年12月28日夜、都内で維新前代表の橋下徹前大阪市長と約1年ぶりに会談した。関係者によると、G20首脳会議の大阪誘致の話題になったが、首相は明言しなかった。
大阪府・市は市内のインテックス大阪を首脳会議の会場にする計画だ。大阪は25年の国際博覧会(万博)誘致をめざしており、G20首脳会議を開催すれば万博誘致に有利に働くとの期待があった。維新も大阪万博の誘致へ熱心に動く。首相側からはG20首脳会議の大阪開催で「維新に恩を売りたい」(首相側近議員)との思惑が透ける。
首相側が得たい対価は本格化する改憲論議への維新の協力だ。自民党内での改憲論議は進んでいるが、国会での野党を含めた改憲論議はまだ盛り上がりに欠く。維新が国会での改憲論議に加われば、国会での改憲発議に向けた環境づくりにつながるとの期待がある。
開催時期を巡っては、政府は当初から夏の参院選前と、秋ごろの即位の礼の前後あたりを想定していた。19年は天皇陛下の退位など重要な日程が立て込んでおり、G20首脳会議の候補時期はこの2つしかないためだ。
参院選前に開催する方向となったのは、首相周辺や与党内で期待を反映したものだ。国際会議で首相が指導力を発揮する姿をアピールし、参院選での与党への追い風にしたいとの思惑が働く。
G20首脳会議を夏の参院選前に開けば、19年5月1日の皇太子さま即位後、初めての日本での本格的な国際会議となる。首脳会議に出席する一部の海外首脳が東京に立ち寄り、即位したばかりの新しい天皇と会見することも可能だ。与党幹部は「新しい時代のムードは選挙にも有利に働く」との打算を働かせる。
首相は首脳会談の誘致に敗れた福岡市でのG20財務相・中央銀行総裁会議の開催を決めた。福岡を地盤とする盟友の麻生太郎財務相にも配慮をみせた。
福岡市は宿泊施設の数で大阪などに劣り、当初より不利とされていた。宿泊施設を確保するため、今年に入ってからも誘致計画を見直して外務省に再提出するなど、最後まで首脳会議の誘致に意欲を示していた。
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