
政府が日銀の黒田東彦総裁を再任する人事を提示したことに野党は批判を強めている。政府は3月中旬までに衆参両院の同意を目指すが、国会での審議は難航しそうだ。
日銀正副総裁の人事案は国会の同意が必要だ。衆参両院の議院運営委員会で正副総裁候補から所信を聴取し、衆参の本会議で過半数の賛成を得る必要がある。日銀の中曽宏、岩田規久男両副総裁は3月19日に任期満了となるため、政府は3月中旬までに衆参の本会議での採決を目指す。
野党側は人事案が国会に提示される前に人事に関する報道が相次いだことを問題視している。「調査、報告してもらうことが大前提だ」(立憲民主党の長妻昭代表代行)と政府に経緯の報告を要求しており、所信聴取の見通しは立っていない。
国会の所信聴取でも黒田総裁による大規模な金融緩和を厳しく追及する構えだ。民進党の大塚耕平代表は16日の記者会見で「出口戦略に向けた対応は相当な困難を伴う」と強調。人事案への賛否は「考えを聞いたうえで判断したい」と述べた。希望の党の古川元久幹事長は「異次元の金融緩和に伴う副作用も見える」と指摘。共産党の笠井亮政策委員長は「金融緩和に限界が来ている。転換が必要だ」と語った。
与党からは黒田氏の手腕を評価する声が相次いだ。自民党の岸田文雄政調会長は「黒田総裁の取り組みは経済成長の一つの要因だった」と評価した。公明党の斉藤鉄夫幹事長代行は「完璧なデフレ脱却まで物価目標の完遂を目指すという政府の決意の表れだ」と歓迎した。そのうえで「物価目標を達成した後の戦略も任期中に提示してほしい」と注文を付けた。
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