ビットコインはフィンテックのサービスの一部分であり、ビットコイン取引の安全性を担保する技術がブロックチェーンだ。そして、フィンテックの川下に位置し、一般消費者にも一番近い存在あるのが決済システムということになる。いまさらながら、簡単に復習しておくと、フィンテックは金融(ファイナンス)と技術(テクノロジー)の造語で、金融とITを融合させた金融システムを示す。フィンテックは「ビットコイン」(仮想通貨)、「ブロックチェーン」、「電子決済」を生み出し、金融機関向けの大手IT企業が中心だった関連企業は、ベンチャー企業や異業種の参入が増加してきている。メガバンクや地銀など金融機関に加えて、こうしたベンチャー企業も参画するフィンテック協会も設立されている。
そして、日本の金融庁は9月29日、仮想通貨事業者11社の登録を発表した。第一弾の登録は関東財務局9社、近畿財務局2社で、マネーパートナーズ、QUOINE 、bitFlyer 、ビットバンク、SBIバーチャル・カレンシーズ、GMOコイン、ビットトレード、BTCボックス、ビットポイントジャパン、フィスコ仮想通貨取引所、テックビューロ。第一号の登録となった仮想通貨事業者名からストレートにマネーパートナーズ、SBI、GMO、フィスコは上場企業グループとわかるが、他の事業者も資本的に上場企業が絡んでいる企業が多いことが特徴だ。登録にあたって当局の審査では、システムの重要性、サイバー攻撃対策を含めたセキュリティが厳しかった模様で、当面はこの11社が仮想通貨市場の先行者メリットを競うことになりそうだ。
株式市場でも、フィンテック、ビットコイン、ブロックチェーンは株価を刺激する有力キーワードとなり、物色テーマとしても盛り上がりを見せている。フィンテック業界で中心的な役割を果たすインフォテリア、仮想通貨取引所をグループで運営しLCC(ローコストキャリア)のPeachAviation との提携で具体的なビットコインの利用方法を明らかにしたリミックスポイントなどが大相場を演じてきている。また、フィンテック関連企業としてマネーフォワードが9月にマザーズに新規上場(IPO)を果たしたように、今後はフィンテック、ビットコイン関連企業のIPOも活発化することが予想される。
株式上場による知名度と企業信用力の向上、資金調達はフィンテック関連企業にとっては事業戦略上、意義が大きい。また、M&Aの選択肢も広がってくる。人気の浮沈が激しい物色テーマだがフィンテック関連テーマは、発展形の物色テーマとして人気が持続しそうだ。
日本でも、2018年5月の「改正割賦販売法(改正割販法)」施行に向けて世界基準の決済環境整備が進んでいる。クレジットカード業界と加盟店に対する規制を強化する改正割販法は2016年12月に成立し、流通・サービス業にカード決済端末のIC対応化などを義務付ける法律。スキミングなど犯罪の温床となる磁気カードを排除しセキュリティ強化を図ることを目的としている。セキュリティ対策だけでなく加盟店調査の義務化、フィンテック企業の参入に伴う環境整備も並行して行われ、オンライン決済、BB(
to企業間取引)領域の拡大が一段と進むことが予想される。
※本コンテンツは、FISCO 株・企業報2017年冬号 今、この株を買おう~第4次産業革命後の世界~より一部抜粋したものです。
《TM》
提供:フィスコ
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