PCマイニングの初級者向け講座「自分のパソコンで掘る「マイニング初級講座」 Powered by AMD RADEON」が20日にパソコンショップ アークが入居する通運会館 2Fで開催された。主催はAMD。
仮想通貨の現状や、AMDの製品がマイニングの分野でどう活用されているのか、PCで仮想通貨マイニングを行う際に必要になるソフトの解説、マイニング向けのPCパーツ紹介などが行われた。
このほか、AMD製品を使用したマイニング向けPCの組み立て実演も行われた。
PCマイニングの最新トレンドはRyzenでマイニング?仮想通貨の動向を紹介
イベントはAMDの佐藤氏による日本での仮想通貨の動向からスタート。今年起こった出来事や、トレンドなどが紹介された。
中でも興味深いのがCPUを使った仮想通貨マイニングで、Ryzenを使った韓国のマイニングファームの例が紹介され、大きな利益を生んでいるという。PCでのマイニングはビデオカードを使用するのが主流なので、この動きは新しい。
Ryzenでマイニングを行っているのは仮想通貨のMoneroで、マイニング時の電力効率で見た場合、Socket AM4対応のRayzenがRadeon RX 470に匹敵するパフォーマンスとのことだ。
また、Ryzenであればマイニング以外の用途にも高いパフォーマンスを発揮できるため、ゲームの合間にマイニングしたり、マイニングをやめた際もメインPCとして使える点などもアピールされた。
ビデオカードに関しては、AMDの製品がブロックチェーンの分野に適した性能を持っており、大きなシェアをとっていることを紹介。特に仮想通貨Ethereumのマイニングに関してはRadeon RX 470が高性能・高効率となっており、ヒット製品になっている。
新型のRadeon RX Vegaもゲーム向けのチューンが進んで性能がでるようになってきているが、Moneroなどのマイニングに高いパフォーマンスを発揮することもあり、現在はマイニング用途での人気が高いという。
このほか、Radeonはドライバの改良も進み、Windows環境でビデオカード×12枚挿しに対応した点も紹介された。
仮想通貨の動向に関しては、2017年4月1日にに仮想通貨法が施行されたことにより、日本でも仮想通貨の波が一気に来たことなど、今年起こったことをざっと解説。最近では、12月1日には国税庁から「仮想通貨に関する所得の計算方法等について」(pdfファイル)が通達されたことなども紹介された。
仮想通貨が利用できる場所も増えており、大手量販店を始め、地方の接骨院で仮想通貨決済が可能な場所もあるという。これは、iPadを利用した個人でも導入できるビットコイン対応のPOS「Airレジ」が登場したことによるもので、仮想通貨決済が身近となったことを象徴する例として紹介された。なお、秋葉原のPCパーツショップでは、パソコンショップ アークが仮想通貨決済に対応している。
本格的にマイニングを行う場合の電気料金節約法や、仮想通貨の保管方法も解説
AMD佐藤氏に続いて解説を行ったのは、有名マイナーのマイナー太郎氏。
仮想通貨をマイニングする際の電気料金節約法、仮想通貨の保管方法、Windowsでマイニングを行う際に定番ソフトだったNiceHashに関してなどが語られた。
電気料金に関しては、電気料金が安い地域に引っ越すのが最も効果的ではあるが、マイニングのために引っ越すのは現実的ではないので、電気料金プランを見直すことがお勧めだという。
通常、電気料金は従量制となっており、使用すればするほど1kWhあたりの単価が上がってしまうが、固定タイプのプランを用意している電力会社もあり、こうしたものがお勧めだという。また、ランキングサイトなどは広告などの絡みであまり参考にならないケースもあり、鵜呑みにしない方が良いそうだ。
マイニング向けプランの例としては、Looopでんきのマイニングフラットが紹介され、本格的にマイニングを行っているユーザーにはお勧めだという。
仮想通貨が盗まれるというニュースが増えてきていることもあり、保管方法に関してもこの日解説が行われた。
仮想通貨のコイン保管方法は、オンライン、ローカル、ペーパー、ハードウェアの4タイプに分類される。この中でオンラインは取引所などに預けるケースが該当し、ローカルはスマートフォンやPCに保管するものとなる。
コインの保管に自信が無いのであれば、日本国内の取引所に預けるのがお勧め。セキュリティー管理が自分でできる人や、コインの移動などが多い人はローカルに保管するのがお勧めとされた。
ローカル運用でのお勧めな使い方は、2台のスマートフォンにウォレットソフトを入れてバックアップが常にある状態にする方法で、1台が破損して使用できなくなったり、無くしたりしても問題ないように、もう一台が保険になる状態を作っておくと良いという。PCでも管理は可能だが、ブラウザのアドオン機能経由でハッキングが起きたケースもあり、現状では、ローカルで管理する場合はスマートフォンでの運用が安全なようだ。
PCマイニングソフトに関しては、人気だったNiceHashの現状を紹介。サーバーがハッキングされ、大量のビットコインが盗まれサービスが停止していたものの、近日サービスが再開されることが紹介された(22日にサービス再開)。
ブロックチェーンのシステム自体は強固で安全なものだが、それを扱う会社のサーバーは会社のセキュリティ技術次第といった面があり、リスク管理に関しても語られた。
このほか、WindowsでGPU設定をチューンする際に、MSIのAfterburnerとCorsairのRMシリーズを使って最適値を探る例を紹介。今本気でマイニングを行うなら、安定度と手軽さで優れるLinuxベースのマイニング専用OS「ethOS」がお勧めといった話も語られた。
ethOSは、国内では代理店のアユートが販売を行っているが現在売り切れ。来年早々に再入荷する予定だという。
マイニング向けのPCパーツ選びのポイント、電源とライザーにこだわるべき
マイニング向けのPCパーツに関しては、代理店アユートの森田氏が解説。マイニング向けにどのような製品があるのが、どんな部分をポイントとして選べば良いのか説明された。
なお、GPUに関しては、EthereumをマイニングするならRadeonを選ぶのが最適なので、Radeonを使用する前提で説明は省かれた。
CPUは、CPUマイニングを行うならRyzen 7 1700、CPUマイニングを行わないのであれば、Celeron G3930が現状ベストとのこと。
GPUを使用したマイニングの場合、メモリはほぼ使用しないので最低の4GBあれば十分だけが、CPUマイニングを行う際は8GB程度はあった方が良いそうで、メモリが少なすぎるとパフォーマンスが上手く出ないという。
ライザーカードは電源コネクタの違いで複数発売されている。1本の電源ケーブルにライザーカードを繋げすぎると燃えるので、自分が使用している電源のケーブル本数とコネクタ数を確認し、それに合わせライザーを選ぶ必要があり、電源やケーブルに無理をさせない運用を推奨した。
マザーボードはRyzen向けCelron向けともに複数のモデルが販売されており、個性的なモデルをピックアップして紹介。
マイニングマザーボードと通常のマザーボードとの最大の違いは、複数枚のビデオカードを搭載した際に動作することが保証されている点で、BIOS設定や仕様などがマイニング向けにチューニングされているという。通常のマザーボードをベースにマイニング環境を構築した場合、上手く動作しない可能性もあるので、マイニングを行うならマイニング対応マザーボードを使用することが推奨された。
電源に関しては、現在1,000~1,500Wのモデルが売れており、750Wを2基使用して稼働させる方法もお勧めだそうだ。
電源を選ぶ際はコネクタ数とケーブルの長さがポイントとなり、ビデオカードに電力を供給する6/8ピンは後付けの分岐ケーブルを使用すると燃えることもあるので、使用するビデオカード分のコネクタ数を確保する必要があるほか、ケーブルが短いと端に配置したビデオカードに届かないといったこともあるので、事前にケーブル長もチェックしておいた方が良いことなども解説された。
電源効率は当然良ければ良いに越したことはないが、価格とのバランスを考える必要もあり、とりあえずマイニングをはじめる場合は80 PLUS Goldあたり、本格的に行うなら80 PLUS Platinumあたりのモデルがお勧めだという。
電源により12V出力が1系統のものと複数系統に分れているものがあるが、複数に分れている物に関しては、1系統から出力できる電力以上に出力させてしまうと故障の原因になるので、1系統から電力を取り過ぎないように配線に気をつけて欲しいそうだ。
ケースに関してはアユートからフレームが販売されているが、メタルラックなどの流用するのも手だという。ただし、ショートしやすいので、絶縁対策をしっかり行って欲しいとのこと。ビデオカードが4枚くらいまでであれば、マザーボードによってはそのまま搭載可能なので、通常のPCケースを使うのも良いそうだ。
0 件のコメント:
コメントを投稿