2017年12月22日金曜日

住友商事の新社長、兵藤誠之氏 問われる傍流出身の「粘り強い男」の真価

 長く「鉄鋼・鋼管部門」が主流とされてきた住友商事で、“傍流”の「インフラ部門」から上り詰める。同社がインドネシアのジャワ島中部で手がけた石炭火力発電所の運営プロジェクト「タンジュン・ジャティB」の中心人物として、波瀾万丈の会社員人生を歩んできた。

 1990年代後半のアジア通貨危機で、インドネシア政府から公的資金支払いの繰り延べを要請され、プロジェクトの資金調達が困難となり、工事は一時中断した。

 約5年間を耐え忍び、インドネシア側の負担を軽くする仕組みを考案するなどしてプロジェクト再開にこぎつけた。技術系として専門分野に強いだけでなく、インドネシア政府とも粘り強く交渉した。

 中村邦晴社長は「危機を乗り越え、あきらめずにやり抜く胆力がある」と太鼓判を押す。複数企業の異なる利害を調整しながら、いくつもの巨大プロジェクトをまとめてきた実績は、ライバル他社の幹部も一目置く。

 「ひとつの目標に向かって最後までやり遂げるのは難しいがやりがいもあった」と振り返る。がむしゃらさに欠ける淡泊な社風と揶揄される住友商事で、粘り強い男の真価が問われる。(上原すみ子)

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