2017年12月28日木曜日

不正への「当事者意識」なし=三菱マテ社長、組織見直し論に終始

 「内部統制体制の構築は要の一つ。さまざまな教育施策をこれまでも行っていた」。三菱マテリアルの竹内章社長は28日、子会社の品質不正問題の調査報告に関する記者会見で、一連の不正はあくまで子会社の問題であり、同社の企業体質に根差したものではないとの認識を示した。今回の不正が自らの問題でもあるという「当事者意識」が全く感じられない竹内社長の言葉が、会見場にむなしく響いた。
 三菱マテが今回発表した中告では、子会社の多くの職員が不正に関与し、データ改ざんの指南書まで作られていたことが判明。しかし、竹内社長の会見の説明では、一連の不正が子会社を統括する親会社トップの責任に直結する問題だとの認識が最後まで感じられなかった。
 自身のグループ経営能力に質問が及ぶと、竹内社長は「当然のことながら持っている。なければ社長の席にはいない」とまで言い切った。
 三菱マテは合併を繰り返しながら規模を拡大してきた企業で、数多くの事業を抱えている。このため、各事業会社に対する親会社の監督の目が十分に行きわたらず、複数の子会社で長年不正が続く大きな要因となったことは確かだ。
 竹内社長は会見で、「品質管理に関するガバナンス(企業統治)体制を再構築する」と表明。「重要事態発生の際は親会社まで速やかに情報伝達されるルートを速やかに整備したい」と強調した。しかし、親会社の経営陣が不正問題への当事者意識を持たないまま子会社への監視を強化すれば、不正の温床となった企業風土の抜本改革はかえっておざなりになる可能性がある。(2017/12/28-21:47)

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