ミクシィは27日、音楽チケットなどの個人間売買サイト「チケットキャンプ」を2018年5月末で終了すると発表した。運営子会社が商標法違反などの容疑で捜査を受け、継続は難しいと判断した。同サイトは不当な高額でのチケット転売の温床になっていた。ただその温床がなくなっても取引の場が他のサイトに移るだけ。不正な転売はなくせるのか。
「チケットキャンプのサービス終了につきまして」。27日夕、チケキャンのトップ画面にいきなり告知が表示された。ツイッターでは「チケキャン閉鎖、素晴らしい」「急きょ行けなくなったらどうしたら?」といったつぶやきが相次いだ。
サイト終了に伴いミクシィはのれん代償却費など計77億円の特別損失を計上。18年3月期の連結純利益予想を前期比33%減の402億円に下方修正した。森田仁基社長は6カ月間の月額報酬を自主返納する。
チケキャンを巡っては、ジャニーズ事務所関連のコンサート情報をまとめたサイトを独自に運営し、同事務所の商標を不正使用した疑いなどがもたれている。だが、多くの利用者が抱いていたのは「ネットダフ屋」のイメージだ。
公共の場でのダフ屋行為は地方自治体の迷惑防止条例などで禁止されているが、ネット上には明確なルールがない。ヤフーの「ヤフオク」やメルカリも以前は不正転売の場になっていた。プラットフォーマーを自認する両社が自主規制に動き、不当な高額での出品を排除するなど対策を実施。チケット専門のチケキャンに客が流れ込んだ。
やがて数千円のチケットが数万~十数万円で取引されることが常態化し、興行側からも批判が噴出した。それでも規制に踏み切れなかった背景にあるのは、様々な品目を扱うヤフオクなどとチケット専業の違いだろう。自主規制に動けば手数料収入が大きく減る可能性があった。音楽業界の関係者は「上場企業として対策をしてこなかった責任は大きい」と憤る。
正規のチケット販売のオンライン化が進み、転売目的のプロの間で、大量のメールアドレスを自動作成してファンクラブに入会しチケットを入手する手法などが横行。データの自動入力プログラムを使い、1秒間に数十件の抽選申し込みや予約を入れ、チケットを買い占める手口もある。
こうしたチケットが高額で転売されるのを防ぐため、音楽業界も対策を打ち始めている。17年6月には音楽関連の4団体が購入後のチケットを売買する公式サイトを開設。アミューズは18年にも対話アプリのIDを本人確認に活用し不正転売を防ぐ仕組みを始める。
海外では良い席の価格を最初から高く設定し、差益を得られにくくするのが一般的。ただ、日本の音楽業界はファン層の厚みを重視し、人気イベントでも価格の引き上げには慎重だ。
チケキャン終了で不正な転売を撲滅できるのではとの期待もある。だが、類似のサービスは多く、音楽業界の対策もまだ始まったばかり。いたちごっこはしばらく続きそうだ。(桜井芳野)
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