2017年12月19日火曜日

リニア談合疑惑の徹底解明を

 総工費9兆円に上るリニア中央新幹線の建設工事をめぐり、鹿島清水建設大林組大成建設の大手ゼネコン4社が入札の際、話し合いによって受注する会社を調整していた疑いが浮上した。

 東京地検特捜部と公正取引委員会は独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で家宅捜索に乗り出した。各社の幹部らからの事情聴取も進めている。

 大手ゼネコンは過去にも、談合事件などでたびたび摘発されている。このため業界そろって談合決別宣言を出すなど、入札のあり方を見直してきたはずだ。

 これまでの調べに各社は不正を否定しているというが、新たな疑惑が事実だとすれば、社会に対する大きな裏切り行為といっていい。特捜部と公取委には、徹底した事実の解明を求めたい。

 リニア新幹線の工事では、これまでに発注元のJR東海と契約が成立した22件のうち15件を、4社がほぼ均等に受注している。

 特捜部は当初、このうち事故の際の避難などに使われる名古屋市内の非常口の入札について、大林組が不正を行った疑いがあるとみて偽計業務妨害の容疑で調べていた。ところが捜索した資料などを分析した結果、大手4社ぐるみの談合の構図が浮かび上がってきたとみられる。

 独禁法は発注者が国・自治体か民間企業かにかかわらず、公正な競争を阻害する行為を禁じている。リニア工事は税金で行う公共事業ではないものの、極めて公共性が高く、総工費の一部に国の財政投融資が充てられている。

 不正な入札によって競争がゆがめられ、工事費が高く設定されれば、そのツケは鉄道の利用者が払うことになる。

 特捜部の調べでは、JR東海の社員が工事費の見積もりをゼネコン側に伝えていた疑いも出ているという。この点を含め、JR東海も事業主体として入札に至る経緯を検証し、問題があれば積極的に公表して発注のあり方を見直していく必要があるだろう。

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