[東京 5日 ロイター] - ソニー(6758.T)とパナソニック(6752.T)の有機EL事業を統合して設立されたJOLED(東京都千代田区)は5日、世界初となる「印刷方式」で製造した有機ELパネルの出荷を始めたと発表した。有機ELは韓国勢が先行しているが、印刷方式の特徴でもある低コストを武器に巻き返しを図りたい考えだ。
会見した田窪米治・最高技術責任者(CTO)は「最終的には印刷方式をOLED(有機EL)生産技術のデファクトスタンダードにしたい」と意欲を示した。
今回、出荷したのは21.6型の4K有機ELパネル。ソニーの医療用モニター向けに供給を始めた。
有機ELは液晶に比べ、薄型、省電力、高画質などの特徴を持ち、次世代パネルとして期待されている。製造方式は大きく分けて蒸着方式と印刷方式の2通りあるが、印刷方式は発光材料をプリンターのように必要な場所に必要な分量だけ塗布できるため、材料ロスが少ないなどのメリットがある。また蒸着方式で必要な真空環境も不要のため、投資を低く抑えることもできる。
田窪CTOは蒸着方式に比べ「2━3割は(コスト低減を)頑張れるのではないか」との認識を示した。
まずは中型パネルの供給を始め、2019年の量産化を目指す。経営資源の制約もあり、大型パネルは他社への技術供与を検討。すでに「いくつかの大型テレビを作っているメーカーから話が来ている」(田窪CTO)という。
印刷方式の有機ELを量産するには運営資金を含めて1000億円程度必要とされており、同社は外部からの資金調達も模索している。田窪CTOは「現在、色々なところと話をしている。最終クロージングは3月末を目指しており、その前に何とかしたい」と語った。
JOLEDは官民ファンドの産業革新機構が75%、ジャパンディスプレイ(JDI)(6740.T)が15%、ソニーとパナソニックがそれぞれ5%を出資。JDIは産業革新機構からJOLED株式を取得して、子会社化する方針を打ち出しているが、2度にわたり延期するなどグループ戦略に不透明感も漂っている。
志田義寧
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