トヨタ自動車は18日、2025年ごろまでに世界で売る全車種に電気自動車（ＥＶ）やハイブリッド車（ＨＶ）などの電動モデルを設けると発表した。最大の課題となる車載電池ではパナソニックと協業し、開発や生産に30年までに累計で１兆5000億円を投じる。世界で強まる自動車の環境規制に対応するトヨタの動きは、部品や素材など関連産業にも構造転換を迫りそうだ。
電動化戦略の説明会でトヨタの寺師茂樹副社長が明らかにした。
25年ごろまでに100程度あるとみられる全車種に電動モデルを設け、30年には電動車の販売を全体の約５割に相当する550万台以上に引き上げる。うち450万台がＨＶやプラグインハイブリッド車（ＰＨＶ）となる。ＥＶと燃料電池車（ＦＣＶ）は計100万台を販売する。ＥＶは20年代前半に世界で10車種以上を投入しＦＣＶも商用車などに車種を広げる。
現在のトヨタの電動車比率は約16％。これを約３倍に引き上げる。
トヨタが電動化を進める背景には各国の環境規制の強化がある。トヨタはＨＶを中心に約40車種の電動車を販売するが、米国や中国ではＨＶを次世代環境車の対象外とする規制が導入される。
英仏政府によるガソリン車やディーゼル車の販売を禁止する方針でもＨＶの販売が継続できるかどうかは不透明だ。各国の規制は流動的な部分も大きく、対応には「ＥＶの商品化も急ぐ必要がある」（トヨタ幹部）。
電動車拡大のネックは電池の性能と量産だ。ＥＶ１台に必要な電池容量はＨＶの50倍程度になる見通し。希少金属の確保や再利用、充電インフラなどが課題となる。そのため電池ではパナソニック以外にも中国などの電池メーカーとの連携も視野に入れる一方で、トヨタも自ら投資する姿勢を示し、「オープンなスタンス」（寺師副社長）で他社との連携を探る。
世界の自動車メーカーは積極的な電動化の計画を示している。独フォルクスワーゲン（ＶＷ）は25年に世界販売の４分の１に当たる300万台のＥＶを販売する計画。
トヨタはこれまでＥＶの販売目標などを公にしてこなかった。「優遇策なしで売れるＥＶやＦＣＶをつくるのは難しい」（トヨタ幹部）との危機感があり、他社との連携なしには実現が難しいと判断した。
自動運転などの次世代技術では米グーグルなどＩＴ（情報技術）大手など異業種との開発競争が本格化する。トヨタは仲間作りを進め投資負担を抑える狙いもある。
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