日本郵政は21日、子会社の日本郵便が運営する宅配便「ゆうパック」で12月に計1万3500個の遅配が発生したことを明らかにした。クリスマスや歳暮などの荷物の増加で物流施設の仕分け作業が遅れ、トラックへの積み込みが遅れたケースがあった。慢性的な人手不足が続く中、値上げしたヤマト運輸などから荷物が流れ、一部の現場が対応しきれなかった。
インターネット通販の急増と人手不足を背景に、ヤマトは宅配便の荷主企業に対して順次値上げを求めている。10月には個人向け運賃の定価となる基本料金を引き上げた。佐川急便も11月に値上げを実施した。
一方、ゆうパックは2018年3月の値上げを決めているが、足元ではヤマトなどから荷物が流れている。例年12月は歳暮やクリスマスで荷物数が平常の月より1.5倍に増える。17年12月はさらに2割増で推移している。
このため物流拠点で荷物を方面別に仕分けする作業が追いつかず、一部で遅配が起きた。4日に大阪で1万個、11日に東京で3500個が予定していたトラックに載せられず、発送が半日程度遅れた。
21日、記者会見した長門正貢社長は「一部で遅配はあったが、大きな問題にはなっていない。(広域な)面としての遅れはなく、致命的ではない」との認識を示した。
ただ年末年始にかけて厳しい状況が続く。長門社長は年末の配送について「若干の遅れが出る可能性がある」と遅配の発生を示唆した。
25日ごろにクリスマスと歳暮の荷物が集中するほか、年末はお節と年賀状の仕分け作業が重なる。届け先の不在に伴う再配達の荷物も徐々に蓄積し、現場の従業員への負荷も高まっていく。
従業員の残業増加について長門社長は「大きな労働問題にはならない」として適切に対応していると強調した。ただアルバイト採用や残業代の支払いに伴う人件費の増加は収益を圧迫する。
人材の獲得競争はますます厳しくなる。ヤマトは夜間専用のトラック運転手を1万人採用する計画を打ち出している。佐川も親会社の株式上場を通じて、人員の増強と待遇改善を進める方針だ。
日本郵便の主力の郵便事業は電子メールの普及で縮小が確実。ネット通販で拡大する宅配便は数少ない成長事業だが、人への投資を増やさなければサービス品質は上がらず、シェア拡大はおぼつかない。
Read Again https://www.nikkei.com/article/DGXMZO24938000R21C17A2TJ1000/
0 件のコメント:
コメントを投稿