ゼネコン大手4社の株価が18日、前営業日比で一時1~5%下落した。鹿島と清水建設は同日午前、独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で、東京地検特捜部の捜索を受けたほか、大成建設も近く捜索されると報じられた。「大林組にみられた不正疑惑が、ゼネコン大手4社に及ぶ可能性が意識された」(野村証券の前川健太郎氏)。
鹿島の18日の株価は、寄りつきから急落。一時5%安まで下げ、3%安の1125円で引けた。清水建設と大成建設も一時4%安となった。大林組は一時1%安となったのち、終値は小幅高の1380円だったが、家宅捜索前の8日比では7%安となった。大手4社はいずれも11月に年初来高値を付け、年初から3~6割強上昇しただけに、利食い余地が大きかった事情もある。
今後の株価のリスクとなり得るのは、課徴金による業績への影響だ。独占禁止法では課徴金として違反行為があった売り上げの10%を目安に国庫に納付すると定めている。
大林組については、他社に入札を参加しないよう要請した疑いのある工事の受注価格は約90億円。大手4社は同工事を含めて計15件を受注済みだ。野村証券の前川氏によると、課徴金が発生した場合「1社あたり数十億円レベルとなりそうだ」という。
現時点で、清水を除く大手3社の2018年3月期の連結純利益は3期連続で最高益を更新する見通し。旺盛な建設需要を受けて各社は前期でも1000億円前後の純利益を稼いでおり、課徴金が発生しても大きなダメージにはならないとの見方もある。ただ今回の不祥事が長引けば、イメージ低下などで好調な株価にも水を差すリスクが浮上している。
2027年の開業までのリニア中央新幹線の総工事費は約5.5兆円と巨額。深刻な人手不足の中で、厳しい工程で大型土木工事をさばく能力を持つ業者は、大手4社を中心に限られる。ただ、今回の事件を受けて「大手の牙城を切り崩すチャンスになるかもしれない」(ゼネコン準大手幹部)との声も上がる。今後の業界の勢力図の変化につながる可能性もありそうだ。
(大西康平)
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