2017年12月18日月曜日

「南アトンネル」も調整か 鹿島部長を聴取

 リニア中央新幹線の建設工事を巡る不正受注事件で、東京地検特捜部が関連工事の一つである「南アルプストンネル」を受注した鹿島(東京都港区)の担当部長から任意で事情聴取していたことが、関係者への取材で分かった。同トンネルは受注額は非公表だが、最難関の工事とされており、他工区より予算規模が大きいと言われる。特捜部はこの工事でも大手ゼネコン4社による受注調整が行われた可能性があるとみて、実態解明を進める模様だ。

 特捜部は18日、公正取引委員会と合同で鹿島と清水建設(同中央区)を独占禁止法違反(不当な取引制限)の疑いで捜索。大成建設(同新宿区)と大林組(同港区)には19日にも捜索を行うとみられる。大林組は今月8日、偽計業務妨害容疑での捜索を受けており、2度目の強制捜査となる。

 関係者によると、南アルプストンネルは山梨、静岡、長野各県の山岳地帯を貫く全長約25キロの工事。長野工区は鹿島の共同企業体(JV)が昨年2月に受注し、山梨工区と静岡工区は大成建設のJVが2015年8月と今年11月に受注した。

 3工区ともJR東海が業者から技術提案を受けて価格や施工方法を総合評価する「公募競争見積もり方式」で業者選定手続きを実施した。いずれの工区も契約価格は数百億円に上るとみられ、総事業費9兆円とされるリニア関連工事の中でも大規模な工事となっている。

 複数の関係者によると、特捜部の聴取を受けた鹿島の担当部長は毎月1回程度、一般社団法人「日本建設業連合会」(日建連)の鉄道部門会合に出席していたという。この会合にはゼネコン各社でJR東海を担当する幹部が出ていたとされる。聴取に対し、鹿島の部長は受注調整を否定しているという。

 南アルプストンネルについて、別の鹿島幹部は毎日新聞の取材に「大成建設と分け合った形。長いトンネルをまとめて1社では受注できない」とした上で、「日建連の会合では工事の割り振りを決めたりはしないと思う」と受注調整を否定した。【松浦吉剛、飯田憲、二村祐士朗】

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