2018年10月30日火曜日

ソニー営業益8700億円に、ゲームや半導体けん引

ソニーが2期連続で最高益を更新する見通しとなった。30日、2019年3月期の連結営業利益(米国会計基準)見通しを前期比18%増の8700億円に上方修正。ゲームや音楽に加え、世界トップの画像センサーが安定した利益を生み出した。事業改革に一区切りをつけたソニーは、米企業が強みを持つデジタル時代の競争に打って出られるか。そのスタートラインに立った。

「画像センサーへの投資を2割積み増す」。30日、東京都内で記者会見したソニーの十時裕樹最高財務責任者(CFO)は得意分野で攻めに出る姿勢を強調した。

テレビなどエレクトロニクス事業の不振で最終損益が乱高下したかつてのソニーの姿とは打って変わり、営業利益見通しを従来予想から2千億円積み増した。8700億円の営業利益は、金融を除く日本企業の通期見通しでトヨタ自動車NTTなどに次ぐ6位。1兆円の大台も視野に入る。

けん引役は画像センサーとゲーム、音楽の3本柱だ。3事業で8700億円の8割を稼ぎ出す。

ゲーム事業は「プレイステーション4」が発売から5年近くたちピークは過ぎた。しかし世界で8千万人のユーザーを抱え、オンラインゲームが継続的に収益を生む構造になった。今期の部門営業利益は前期比75%増の3100億円と7月時点の見通しから600億円積み増した。音楽事業も保有株の再評価益を含め営業利益が8割増える。

世界のスマートフォン(スマホ)向けで5割超のシェアを持つ画像センサーでも攻めに出る。車の自動運転など将来技術の核となるセンサーへの需要が増すとみて、今後3年間で6千億円を投じる。計画比で2割、過去3年に比べ3割の投資増により、韓国サムスン電子など後続を引き離す。

「課題の先送りはしない」。4月に就任した吉田憲一郎社長は、就任前から事業構造改革に取り組んできた。エレキ事業は規模を追わず高付加価値品に特化。大きな投資なしで安定的に稼げる体制を築いた。今期に950億円の営業赤字を見込むスマホ事業など課題も残るが、構造改革にはほぼメドをつけたといえる。問題はこれから先だ。

世界では膨大な顧客データが競争力を左右するデジタル経済が深化し、米企業が存在感を増す。世界に1億3千万人超の会員を抱える米動画配信大手ネットフリックスは、視聴データから売れるコンテンツを探り、顧客基盤や収益力を増す。

ソニーもゲームや音楽の顧客基盤を広げ、今期の営業キャッシュフローは前期比8%増の8300億円(金融除く)を見込む。データを活用し魅力的なコンテンツで経済圏を広げる世界的な競争のスタート台に立った。

デジタル競争を主導するアップルやグーグルなど米大手は年数兆円の営業キャッシュフローを稼ぎ出す。吉田社長は「あのレベルになろうとはしない」と話すが、データ競争の波が容赦なく企業の優勝劣敗を決める時代。ソニーが「データ強者」の仲間入りを果たせるかが問われる。

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