ソニーは30日、平成31年3月期の連結業績予想を上方修正し、本業のもうけを示す営業利益が2年連続で最高益を更新する見通しとなった。
長い低迷を経て、テレビやパソコン、音響機器などのエレクトロニクス(エレキ)が中心だった事業構成からの転換が実を結んだ格好だ。ソニーは復活したといえるのか。
31日夕、東京・品川の本社2階フロア。決算説明会で十時(ととき)裕樹最高財務責任者(CFO)は、「何年にもわたって経営改善に取り組んできた結果だ」と強調した。31年3月期の連結営業利益見通しを、減益予想だった従来の6700億円から、前期比18・4%増の8700億円になると発表。同時に公表した30年9月中間連結決算でも、営業利益が前年同期比20・1%増の4345億円と、中間期として2期連続で最高益を記録した。
主力のゲームや音楽、金融といった事業がいずれも好調で、製品を売って終わるのではなく、サービスを通じて継続的に収益を得る「リカーリング」と呼ばれるビジネスが伸びた。ゲームや音楽の権利ビジネスなどのエンターテインメント部門で傾向が顕著となっているうえ、エレキ部門でもカメラの交換レンズの品ぞろえを増やしている。連結売上高に占めるリカーリング型事業の比率は30年3月期で約4割まで拡大しており、今後も比率を伸ばしていく方針だ。
ソニーは1990年代にネット対応が遅れ、業績も低迷。立て直しに向け、かつては売上高の7割を占めたエレキ部門から、ゲーム事業や金融事業などが牽引(けんいん)する構造に転換を進めた。人員を削減し、平成26年には「VAIO(バイオ)」で知られるパソコン事業から撤退。29年には、世界で初めて実用化に成功したリチウムイオン電池事業も村田製作所に売却した。目まぐるしく変化する競争環境に対応するため、自社の強みを発揮できない事業は切り売りする動きを強めた。
こうして、事業構成を変化させる構造改革に成功。17年3月期からの10年で約8千億円の営業赤字を垂れ流したテレビ事業も、シェアを追わず、販売地域を縮小する戦略で収益性を高め、黒字を維持している。
ただ、課題も残されている。販売不振が続き、赤字のスマートフォン事業だ。規模を5割縮小させて年700万台(30年3月期は1350万台)でも採算が取れる体制にシフトし、再来年の黒字化を目指す計画だが、立て直しに向けて残された時間は少ない。
ソニーはかつて、「ウォークマン」や独自開発のブラウン管テレビ「トリニトロン」など、「面白い」と感じる製品を作ることができる会社として、際立った存在感を誇っていた。しかし、現在は急成長を遂げた米国のアップルやアマゾン・コムなどに企業価値だけでなく、先進的なイメージでも差をつけられている。ソニーへの期待は大きく、好業績に加え、ユニークな製品で強烈なブランド力を取り戻してこそ、真の復活だと評価されそうだ。
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