2018年10月31日水曜日

黒田日銀総裁「米中摩擦、一番のリスク」

日銀の黒田東彦総裁は31日の金融政策決定会合後の記者会見で「米中摩擦がエスカレートしており、世界貿易に与える下方リスクは一番着目している」と述べた。貿易を通じた世界の供給網が拡充されている点にふれ、保護主義は「当事国だけでなく世界経済全体に影響を与えることがある」と懸念を強調した。

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日銀は31日の決定会合で短期金利をマイナス0.1%、長期金利を0%程度に誘導する金融緩和の現状維持を決めた。世界経済の現状は「総じてみれば着実な成長を続けている」と語り、貿易戦争の影響はまだ限定的との見方を示した。ただ、現在公表されている経済指標では現況を見極めにくいこともあり、国内でも家計・企業の心理、金融市場への影響を注視していく姿勢をみせた。

足元で世界の株価が不安定に推移していることについては「米国の長期金利上昇や米中の貿易摩擦で警戒感が強まり、株式市場に影響があった」と指摘。そのうえで「振れ幅の大きな展開が続いているが、株価の指標となる企業収益の見通しはしっかりしている」と語り、米国経済は引き続き好調とも言及した。

米中貿易摩擦で海外経済の下振れリスクが高まれば「金融政策の対応もある」と語った。追加緩和の選択肢については「金利の引き下げ、資金供給量・資産買い入れの拡大」と改めて述べた。「中国では投資関連でやや弱めの動きが見えている」とも指摘し、リスクの動向を注視する方針を示した。

2%の物価目標達成が遅れ、金融緩和は長期化する方向だ。市場の取引低迷や金融機関の収益圧迫といった副作用への懸念が強まっている。日銀は7月、副作用に配慮し長期金利の上振れを容認するよう政策運営を調整した。今後も緩和の効果と副作用を両にらみしながら政策の方向性を慎重に判断する。

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