[ワシントン 30日 ロイター] - 米商務省が30日発表した第2・四半期の国内総生産(GDP)改定値は年率換算で前期比3.0%増と、速報値の2.6%増から上方改定された。市場予想の2.7%増を上回り、2015年第1・四半期以来、2年超ぶりの大幅な伸びとなった。個人消費と設備投資の底堅さを反映した。
最近の小売売上高や企業投資の統計をみる限り、第3・四半期初めに米経済は勢いを保っているもようだ。また南部テキサス州の一部地域に甚大な被害をもたらしている大型ハリケーン「ハービー」については、国内経済への影響は限定的とみられている。
PNCフィナンシャル・サービセズ(ピッツバーグ)の首席エコノミスト、ガス・ファウチャー氏は「被害に伴い生産の一部が損なわれても、今後数カ月でそのほとんどを取り戻すことができるだろう」と述べた。
市場では、底堅い成長と最大雇用状態にある労働市場を背景に、FRBが9月に4兆2000億ドル規模の米国債や住宅ローン担保証券(MBS)といった保有資産を縮小し始める旨を発表し、12月に利上げするとの見方が強い。
トランプ米大統領は今年のGDP目標を野心的な3.0%増とし、減税と規制緩和、インフラ投資を合わせて目標を達成するとしている。ただエコノミストらは目標の達成には懐疑的だ。
PDQエコノミクス(ニューヨーク)の首席エコノミスト、ジョン・ライディング氏は「内需が基調としてほぼ3%の成長に沿っている一方で、供給サイドにはそうした成長を実現するだけの力がない」と指摘した。
トランプ政権は依然、経済政策の法案を通せていない。税制改革やインフラに関する計画の詳細も明かされていない。共和党が過半数を握る議会が年内に税制改革法案を協議し可決する見込みは薄い。今のところ政治的行き詰まりは企業や個人の信頼感に影響していない。
第1・四半期GDPは1.2%増だった。第2・四半期に伸びが加速したことで、上半期のGDPは2.1%増と、速報値の1.9%増から上方改定された。
第2・四半期の内訳は、米経済の3分の2以上を占める個人消費が3.3%増と、速報値の2.8%増から上方改定された。1年ぶりの大幅な伸びだった。個人消費は第2・四半期のGDPの主な押し上げ要因だ。
賃金の伸びが弱いことから個人消費の増加に伴い貯蓄が減った。貯蓄率は3.7%と、第1・四半期の3.9%から低下。速報値の3.8%から下方改定された。
消費者は永遠に貯金を取り崩すわけにはいかない。個人消費が加速したにもかかわらず、インフレは抑制されたままだ。米連邦準備理事会(FRB)が物価の目安としている食品・エネルギーを除くコア個人消費支出(PCE)価格指数は速報値と同様0.9%の上昇で、2年超ぶりの低水準だった。第1・四半期は1.8%上昇していた。インフレ圧力を測る別の指標である国内総購入価格指数は0.8%上昇した。速報値から改定はなかった。
企業の設備投資は8.8%増と、2年近くぶりの大幅な増加だった。速報値の8.2%増から上方改定された。3期連続でプラスとなった。
住宅以外のインフラ投資は6.2%増と速報値の4.9%増から上方改定されたものの、第1・四半期の14.8%増からは減速した。石油探索や立坑・油井への投資の減速が一因だ。
企業の在庫投資のGDPへの寄与度は速報値同様、ほぼなかった。第1・四半期は1.46%ポイント押し下げる方向に働いた。
貿易はGDPを0.20%ポイント押し上げた。速報値の寄与度は0.18%ポイントだった。2期連続で押し上げ要因となった。
住宅投資は6.5%減とGDPの重しだった。7年近くぶりの落ち込みとなった。速報値は6.8%減だった。
Read Again https://jp.reuters.com/article/us-2q-gdp-idJPKCN1BA2G9
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