【上海=小高航】米フォード・モーターは22日、中国の自動車メーカー、衆泰汽車(浙江省)と電気自動車(EV)を製造・販売する合弁会社を設立すると発表した。中国政府はEVなど新エネルギー車の優遇政策を強めており、フォードは新たな合弁設立でEVの中国投入を加速する。
フォードは衆泰汽車との間で、折半出資の新会社をつくることを柱とする覚書を結んだ。新会社はEVを開発、製造し独自ブランドで販売する。ブランド名や販売時期など詳細は、当局の承認などを待って正式に発表するとしている。
衆泰汽車はガソリンエンジン車に加え中・小型のEVを手掛ける中堅メーカー。今年1~7月のEV販売台数は前年同期比56%増の約1万6千台と、中国の新エネ車市場で比亜迪(BYD)などに次ぐ3位に位置する。主力の小型EV「雲100」は1回の充電で走る航続距離が100~150キロメートルで、販売価格は15万元(約240万円)前後。
中国政府は今年6月、新エネ車の産業育成を狙い、従来は2社に限っていた外資メーカーの中国企業との合弁設立を3社に緩和した。独フォルクスワーゲン(VW)は安徽江淮汽車(JAC)と3社目の合弁会社を設けるなど、中国のEV市場を狙ったパートナー探しが活発だ。
フォードは中国で重慶長安汽車や江鈴汽車(江西省)との合弁を持つ。フォードのピーター・フリート副社長は「世界最大の自動車市場である中国でEVは将来、重要な要素になる」とコメントした。
新エネ車を巡ってはフランスや英国が40年までにガソリン車とディーゼル車の販売を禁止する政策を打ち出したほか、インドなども優遇策を進めている。ボルボは7月、19年以降に発売するすべての車種をEVやハイブリッド車などの電動車にすると発表した。
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