2017年8月31日木曜日

i-Con推進費を5倍に拡大、国交省の概算要求

日経コンストラクション

 国土交通省は2017年8月29日、一般会計で6兆6944億円とする2018年度予算の概算要求を発表した。建設現場の生産性向上を図る「i-Construction」の推進に17年度当初予算比で5倍の33億円を計上。AI(人工知能)やロボットなど新技術の導入に向けた取り組みを拡大する。

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 同省が要求した公共事業関係費の総額は、17年度当初予算から16%増の6兆238億円。4年連続で6兆円を上回る要求となった。一般会計予算とは別に、東日本大震災復興特別会計予算を4859億円求めている。

 予算編成のキーワードに新たに加わったのが「働き方改革」だ。国交省は18年度、建設業の長期的な人材確保に本腰を入れる。適正な工期設定のほか、施工時期の平準化や技能労働者の社会保険加入の徹底などを企業と連携して推し進める。運輸業や造船業と合わせて、人材確保や育成に42億円を振り分けた。

 「安全・安心」の項目では、2017年夏に九州北部を襲った豪雨などを踏まえ、防災に力を入れる。水害対策の推進には14%増の4774億円を計上。堤防のかさ上げや浸水対策などを進める。6月に策定した「ダム再生ビジョン」に基づき、既設ダムの効率的な活用も推進する。

■インフラ老朽化対策に5087億円

 南海トラフ巨大地震や首都直下地震などを想定した対策には前年度当初予算比11%増の1772億円を計上。施設の耐震化などハード面の対策を進める一方、レーダーなど先進技術を使った災害対応の高度化に74億円を積み、ソフト面も強化する。

 インフラの老朽化対策には19%増の5087億円を充てた。道路局単体では道路の老朽化対策に2504億円を計上。水管理・国土保全局は河川管理施設の維持管理や補修に2021億円を求めた。自治体の防災・減災や老朽化対策は、防災・安全交付金で支援する。17%増の1兆2982億円を要求した。

 社会資本の整備ではストック効果を重視。3大都市圏の環状道路整備などによる物流ネットワークの強化には28%増の2784億円を計上。整備新幹線の建設には17年度当初予算と同じ755億円を求めた。

 訪日外国人旅行者の誘致を目的とした首都圏の空港の機能強化には191億円を配分。羽田空港の飛行経路見直しに伴う施設整備などを進める。大型クルーズ船に対応した港湾整備などには、港湾局が206億円を要求した。

 自治体がインフラ整備などに使える社会資本整備総合交付金には17%増の1兆484億円を計上。地方公共交通と連携してコンパクトな街づくりを進める「コンパクト・プラス・ネットワーク」の考えに基づき、国交省が自治体の施策を支援する。PPP(官民連携)やPFI (民間資金を活用した社会資本整備)による下水道施設の整備など、国が重点を置く事業を中心に配分する予定だ。

(日経コンストラクション 長谷川瑤子)

[日経コンストラクションWeb版 2017年8月31日掲載]

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