東芝が半導体子会社「東芝メモリ」の売却先を合弁相手の米ウエスタン・デジタル(WD)陣営に絞り込み、半年にわたった迷走劇はようやく決着する見通しとなった。だがWDとは訴訟合戦になるなど泥仕合が続き、蜜月関係は崩壊。東芝社内も経営路線をめぐる対立が根深く残り、再建が軌道に乗るかは依然予断を許さない状況だ。
◆急速に歩み寄り
「WDと月末までに契約したい」。24日、東芝本社で開かれた会議で綱川智社長は明言した。居並ぶ取締役から異論は出ず、WD陣営への売却方針が事実上決まった。
両社は8月中旬、WDのスティーブ・ミリガン最高経営責任者(CEO)が綱川氏に、提訴という荒っぽい手段を取ったことをわび、急速に歩み寄った。
東芝は3日、三重県四日市市の工場で建設中の第6棟の新規投資からWDを排除する方針を表明。東芝の単独事業となった場合、WDは最先端のフラッシュメモリーの供給を受けられなくなり、製品面でピンチとなる。
過去の投資の減損処理で巨額損失の計上も迫られかねず、「武闘派」のミリガン氏もさすがに焦ったか、態度を軟化させた。東芝関係者は「排除表明がボディーブローのように効いた」と話す。
東芝は6月下旬、韓国SKハイニックスを含む「日米韓連合」と優先交渉に入った。経済産業省の意向が強く働き、いったんは流れができた。
だが合弁相手のWDは、競合するSKが入る日米韓連合を容認せず猛反発し、係争が激化。東芝社内でも、東芝メモリ社長を兼務する成毛康雄副社長らが反WDに回り、意見対立が深刻化した。8月中旬ごろには売却を諦め新規株式公開(IPO)を目指す「プランB」まで浮上した。
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