JR東海が手がけるリニア中央新幹線の建設工事をめぐり、東京地検特捜部が偽計業務妨害の容疑で、大手ゼネコン「大林組」の本社を家宅捜索した。
入札の公正なルールを破り、一部の工事を不正受注した疑いがある。
特捜部は、他の大手ゼネコン役員や、JR東海の担当社員からも聴取を進めている。国家的な大事業をめぐる不正だけに影響は大きい。徹底した捜査で事件の全容解明を急がなくてはならない。
民間企業の発注工事だが、公共事業でなくても不正な受注行為は許されない。公正な入札が妨害されて本来より高値で工事が発注されれば、その差額は利用者が支払う料金に跳ね返るからだ。
リニア新幹線は、今後20年にわたって建設工事が続く。JR東海も入札方式の見直しを含め、透明性の確保に努めるべきだ。
不正の疑いが持たれているのは名古屋市の非常口新設工事だ。大林組など3社の共同事業体が約90億円で受注した。大林組には、工事を受注できるよう他のゼネコンに働きかけた疑いがある。JR東海の担当者が工事情報を漏洩(ろうえい)した疑いも浮上している。
大林組は、JR東海が独自に見積もった価格にほぼ近い金額を提示して受注したという。同社はもちろん、入札に参加した他社に対しても不正の有無を徹底して捜査しなければならない。
東京-大阪を1時間余りで結ぶリニア新幹線は、2027年に品川-名古屋で先行開業し、37年にも新大阪まで延伸する。建設費は約9兆円が見込まれ、日本の高い鉄道技術を世界にアピールする事業として位置づけられている。
その大きな舞台で不正の横行が疑われていることを、深刻に受け止めなくてはならない。大林組では、10年前に相次いだ談合事件などで当時の社長が引責辞任した。それでも不正を繰り返したなら企業体質の根幹が問われる。
9月には、東京外かく環状道路(外環道)の地下トンネル拡幅工事の契約手続きが中止された。談合の疑いがあり、契約の公平性が確保されない恐れがあるとの理由からだ。ここでも大林組などの大手ゼネコンが受注していた。
建設業界は過去に何度も談合などで批判を浴びてきた。それでも不正の根を絶てないなら、社会的存在として認められまい。
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