2017年12月2日土曜日

品質データ偽装で三菱マテ子会社と東レ子会社の社長が辞任

図1◎三菱電線工業の村田博昭氏

[画像のクリックで拡大表示]

図2◎東レハイブリッドコードの鈴木信博氏

[画像のクリックで拡大表示]

 2017年12月1日、三菱電線工業(本社東京)と東レハブリッドコード(本社愛知県西尾市)は社長更迭人事を発表した。三菱電線工業は村田博昭氏(図1)、東レハイブリッドコードは鈴木信博氏(図2)が社長を辞任した。

 三菱電線工業の村田氏は代表権のある取締役に降格した。社長辞任の理由として、同社管理部総務人事グループは「三菱マテリアルグループとして問題に迅速に対応する意志を示した」と説明し、品質データ偽装問題に対する引責辞任については否定した。だが、実質的には引責辞任とみられる。

 というのも、同年11月4日に開いた会見において、生産したシール材に不適合品が混入している可能性があることを社長として把握しておきながら、顧客に知らせずに8カ月にわたって出荷し続けていたことを認めたからだ(関連記事1)。顧客を欺いて開き直るかのような村田氏の回答に、報道陣からは厳しい質問が飛んでいた。

 品質データ偽装を起こしたのは、同社の箕島製作所(和歌山県有田市)。検査部門が、シール材の寸法と材料物性の測定値を改ざんした。この不正が発覚したのは2017年2月で、村田氏を含む経営陣は同年3月初旬に報告を受けている。ところが、同社はそのままシール材を生産・出荷し続け、出荷を止めたのは同年10月23日だった。

 三菱電線工業社長には、三菱マテリアルの執行役員を兼務したまま高柳喜弘氏が同日付で就任した。

常勤嘱託社員として原因究明を行う

 一方、東レハイブリッドコードの鈴木氏の処分はより重い。社長から一社員である「常勤嘱託社員」への降格だ。東レ広報室はこの処分について引責辞任であることを認め、「データを書き換えた事実に対する経営責任である」と説明した。鈴木氏は常勤嘱託社員として残り、「問題の原因究明に全力で取り組む」(東レ広報室)という。代わりに、東レ生産技術第1部長の青木正博氏が東レハイブリッドコードの社長に就任した。

 東レハイブリッドコードは、タイヤの形状を保持する補強材のタイヤコードや自動車のブレーキホースやベルトに使う補強材の産業用コードの「強力」と呼ぶ強度データなどを改ざんした(関連記事2)。検査データの改ざんは2008年4月に始まり、問題が発覚する2016年7月まで続いていた。この事実を公表したのは、2017年11月28日の会見においてだ。

 公表まで1年以上かかったことについて、東レ社長の日覚昭広氏は「法令違反や製品の安全性に関わる問題ではない限り、公表するつもりはない」が、今回はインターネットの掲示板に品質データ偽装について書き込まれたことから、急遽方針を変えて公表したと説明した。その上で、今後もこの(公表しないという)方針は変わらないと報道陣に語っていた。

 これに対し、東レ相談役を務める日本経済団体連合会(経団連)会長の榊原定征氏は、同年同月29日に「不正は発覚した時点での公表が原則だ」とコメントしており、榊原氏の発言と、東レ社長が示した同社グループの方針とが異なる点が注目されていた。

Let's block ads! (Why?)

Read Again http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/120110033/

0 件のコメント:

コメントを投稿