国土交通省が27日発表した千葉県内の2018年公示地価(1月1日時点)は全用途の平均が前年に比べて0.7%上昇した。5年連続で値上がりした。東京近郊や東京湾アクアライン付近を中心に土地需要が旺盛で、商業地、住宅地とも上昇率は前年より拡大した。東京外郭環状道路(外環道)など高速道路の整備が進み、工業地の値上がりも加速している。
県内の継続調査地点(1244地点)のうち、上昇したのは582地点と前年に比べて15%増加した。一方で下落地点も12%増えており、県内の地価の二極化が一段と進んでいる。
商業地の価格は17年に比べて平均1.7%上昇し、前年の伸び率(1.4%)を上回った。上昇率が最も高かったのはJR船橋駅前の船橋市本町4丁目(8.3%)。周辺の人口増を背景にオフィスや店舗の需要は高まっているが「ビルの空室がほとんどなく、テナントの選択肢が限られている」(米系不動産サービス大手のCBRE)。土地や空室の「品薄感」が強まり、一帯の地価を押し上げている。
千葉市や市川市、習志野市の中心街も前年比4~7%上昇と値上がりが目立つ。不動産サービス大手の三幸エステートによると、県内の大規模オフィスビルの空室率はリーマン・ショックが発生した08年以降で最も低い水準に低下した。千葉県は東京都や神奈川県に比べて大規模なビル開発の動きが乏しく、当面は需給バランスが逼迫する状況が続く。
住宅地の価格は17年を平均0.4%上回った。伸び率は前年より0.2ポイント広がった。価格面では市川市や浦安市など東京に近接した地域が上位を占めているが、伸び率の高さが目立つのは東京湾アクアラインの出入り口に近接する木更津市と君津市だ。
住宅地で上昇率が最も高かった木更津市請西南3丁目(7.9%)、2位の君津市北子安1丁目(7.6%)をはじめ、変動率の上位10地点をすべて両市が占めた。地価調査を担当する不動産鑑定士の佐藤元彦氏は「アクアラインを経由し、東京へ1時間程度で移動できる点が人気を集めている」と指摘。県北西部に比べて地価が割安な面も若いファミリー層の移住を後押しする。
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東京外郭環状道路(外環道)の千葉県内区間が6月2日に開通するのを前に、沿道では工業地の価格がいち早く上昇している。首都圏各地へのアクセスが改善するのを見越し、大型物流施設を中心に土地の引き合いが活発になっている。
松戸インターチェンジ(IC)が開業する松戸市の工業地(松飛台)は1平方メートルあたり10万円と前年に比べて8.7%上昇した。上昇率は県内の工業地で最も高く、全国でも7番目。これまで松戸市内には高速道路のICがなく、外環道の開通で開発が加速するとの期待感が強い。
外環道と湾岸線が接続する市川市の高谷ジャンクション(JCT)付近でも、二俣地区の工業地が前年に比べて6.5%値上がりした。
物流施設運営大手、日本GLPは外環道・三郷IC近くの流山市内に全3棟、総延べ床面積32万平方メートルの大型物流施設の整備を進めている。2月に最初の1棟が竣工したばかりだが、すでに3棟全フロアの7割でテナントが決まったという。帖佐義之社長は「条件の良い土地があれば積極的に押さえていきたい」と外環道周辺への追加投資に意欲を示す。
インターネット通販市場の拡大を追い風に物流施設の需要は拡大基調が続いている。「首都圏では物流施設の供給量が記録的なペースで増えているが、それを上回る勢いで需要が生まれている」(帖佐氏)。24年度には首都圏中央連絡自動車道(圏央道)の県内区間も開通する見通しで、県内への物流施設の進出は一段と加速しそうだ。
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