業者のデータ入力で約95万2000人分にミス
記者会見する日本年金機構の水島理事長(左)ら(20日、東京都千代田区で)=若杉和希撮影
日本年金機構が委託した業者のデータ入力で約95万2000人分にミスがあった問題は、機構側のずさんな業務管理が一因だった。
うち入力漏れの約8万4000人分で過少支給が判明。さらに約31万8000人分の一部で支給額に誤りがある見通しで、機構は26日にも詳細を公表する。度重なる不祥事に、識者は「体制を抜本的に見直す必要がある」と指摘している。
「まさかスキャナーで…」
「まさかスキャナーで読み取っているとは……」。ある厚生労働省幹部は、主なミスの原因が業者の契約に反した入力方法にあり、それを見逃してきた機構のチェックの甘さにあきれた。
機構が所得控除などに関するデータ入力を委託した情報処理会社「SAY企画」(東京都豊島区)は、2人1組で手入力するという本来の入力方法ではなく、スキャナーを使って紙のデータを読み取っていた。機械が誤認識した漢字などが残り、配偶者の所得区分を示す丸印も誤って認識され、過少支給などにつながった。
同社は昨年8月の契約時に約528万人分の入力を「800人態勢で行う」と説明していたが、作業が始まった同10月には百数十人しか確保できず、人手不足などを理由に、約500万人分の氏名のデータ入力などを中国の関連業者に委託していた。中国では70~100人態勢で入力してミスはなかったとされるが、個人情報の流出を招きかねない事態を引き起こしていた。
機構の水島藤一郎理事長は20日の記者会見で「事業に耐えられる設備やシステムを保有しているか確認していなかった」と述べ、業者選定がずさんだったことを認めた。機構はSAY企画とほかに32の契約を結んでいるが、契約額はほとんどが数十万~数百万円規模。今回は約1億8000万円で、これほど大規模な業務実績はなかった。
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