2018年3月27日火曜日

公示地価:地方圏商業地26年ぶり上昇、全国住宅地も10年ぶりプラス

北海道や沖縄など地方圏商業地の地価が1990年代のバブル崩壊以降、26年ぶりに上昇に転じた。東京・大阪・名古屋の三大都市圏で続く上昇が地方にも波及してきた。

  国土交通省が27日発表した公示地価(2018年1月1日時点)によると、地方圏商業地の上昇率は0.5%と、26年ぶりにプラスに転じた。札幌・仙台・広島・福岡の地方四市の商業地は7.9%上昇だった。三大都市圏は5年連続で値上がりし、商業地は3.9%、住宅地も0.7%それぞれ上昇した。住宅地は全国平均で見ても0.3%値上がりし、10年ぶりの上昇となった。

住宅地商業地全用途
201720182017201820172018
全国0.0%0.3%1.4%1.9%0.4%0.7%
三大都市圏0.5%0.7%3.3%3.9%1.1%1.5%
地方圏▲0.4%▲0.1%▲0.1%0.5%▲0.3%0.0%

  北海道や沖縄、京都、大阪では外国人観光客が増え続け、政府観光局の調査では17年の訪日外客数は約2900万人で統計を取り始めた64年以来の最多だった。大阪では、観光客の取り込みに向けてホテルの建設計画も相次ぎ、投資資金も流入している。また、低金利を背景に都市中心部の再開発事業が進み、地価の回復傾向が利便性の高い地方都市でも鮮明だ。

  国土交通省・地価公示室長の村上威夫氏は「地方の回復傾向が明らかになっている。東京も引き続き堅調だ」とし、全国的に地価の回復傾向が広く緩やかにみられると述べた。

上昇率1位は倶知安町

  全国・全用途の上昇率1位は北海道・倶知安町で、住宅地と商業地がいずれも30%を超える値上がりとなった。北海道新幹線建設工事の進展や外国人の別荘需要などが重なっている。東京・銀座の商業地はバブル以降の過去最高更新が続き、地価全国1位の「山野楽器銀座本店」は1平方メートル当たり5550万円となった。ただ、銀座での再開発事業が一巡したことで上昇率は昨年の26%から9.9%に鈍化した。

  都道府県別での上昇率トップは住宅地が沖縄県(5.5%)で商業地は京都府(6.5%)、下落率トップは商業地・住宅地がいずれも秋田県だった。東京都は住宅地が2.4%上昇、商業地は5.4%上昇した。高松市の商業地は0.5%上昇し、外国人向けのホテル需要の高まりなどで地価が27年ぶりに値上がりした。

  訪日客の取り込みに向け、国内ではホテルの新規開発が活発だ。不動産サービスのCBREの調査では、20年末までに開業予定の全国主要8都市(東京、大阪、京都、札幌、仙台、名古屋、広島、福岡)のホテル客室数は合計8万室で、16年の既存部屋数の3割増となる見通し。東京五輪後も日本の観光ブームは続くとの期待から、ヒルトンやマリオット・インターナショナルなどのホテル開業計画が相次いでいる。
  
  ただ、地価の大きな上昇が目立つのは駅に近い場所など利便性に優れたり、近くで再開発があるなど個別の理由によるところが大きい。主要都市における住宅平均価格をバブル期と比べると、東京23区は当時の4割、大阪市は3割にとどまっている。
  

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Read Again https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-03-27/P5V9VD6S972801

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