東証マザーズ市場で24日、人工知能(AI)開発のHEROZ(読み方は「ヒーローズ」)の取引が上場後初めて成立した。初値は4万9000円で、公募・売り出し価格(4500円)の何倍になったかを示す「初値倍率」は10.9倍と、新規株式公開(IPO)が現行の仕組みになった1997年以降で最大になった。投資家の高い期待を映し出した一方で、IPO市場全体では過熱感も指摘され始めている。
HEROZは同社のエンジニアが開発した将棋ソフト「PONANZA(ポナンザ)」がトップ棋士の佐藤天彦名人に連勝したことで知られる。運営する将棋アプリの会員数は430万人を超え、建設や金融向けにもAI技術を提供している。
高成長が期待できるとして買いが殺到。上場した20日から値付かずの状態が続き、3営業日目の24日午後になってようやく取引が成立した。上場に伴って調達する資金は8億円にとどまるのに対し、ある大手ネット証券では「個人投資家からの申込額は合計1.4兆円近くにのぼった」という。
IPOは97年に投資家の需要を事前に調べる「ブックビルディング方式」に移行した。それ以降の初値倍率では、IT(情報技術)バブル期の99年に上場したエムティーアイの9.1倍が最高記録。HEROZはこれを19年ぶりに更新した。
IPO市場では過熱感が強まっている。SMBC日興証券によると18年に上場したIPO銘柄の初値倍率は平均で3.5倍。05~06年の新興株ブーム期を上回り、ITバブル期の99年(4.5倍)に迫る水準だ。
日銀の金融緩和を受けてだぶついた投資マネーが、値上がり期待の高いIPO市場に流入しているようだ。IPO銘柄数は増加基調を保っており、今年は「17年並みの90社程度」(あずさ監査法人の鈴木智博氏)と見込まれている。
警戒感もじわりと強まってきた。ITバブル期も新興株ブーム期も過熱感が強まった後、株式相場には下げ圧力がかかった。足元でも「ここまで高い初値形成が続くとは思えない」(松井証券の窪田朋一郎氏)との声が出始めている。HEROZも初値を付けた後は荒い値動きとなり、制限値幅の下限(ストップ安水準)の4万2000円で取引を終えた。
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