2018年4月30日月曜日

5Gへ4.3兆円投資 スプリント・Tモバイル合併合意

 【ニューヨーク=中山修志】ソフトバンクグループ傘下で米携帯4位のスプリントと同3位のTモバイルUSは、2019年をめどに合併することで合意した。次世代通信規格「5G」の商用化に向け、新会社は3年で400億ドル(約4兆3千億円)を投資する。規模拡大で巨額投資に耐える体制づくりを急ぎ、ベライゾン・コミュニケーションズ、AT&Tの米2強に対抗する。

 合併会社はTモバイルの親会社ドイツテレコムが経営権を握り、ソフトバンクの連結対象から外れる。株式交換によって合併し、持ち株比率はドイツテレコムが41.7%、ソフトバンクは27.4%。ソフトバンクは持ち分法適用会社とする。

 Tモバイルのジョン・レジャー最高経営責任者(CEO)がCEOを務める。Tモバイルが9人、スプリントが4人の取締役を指名し、スプリント側からはマルセロ・クラウレCEOとソフトバンクの孫正義社長が取締役に就く予定。社名は「TモバイルUS」とする。

 米規制当局の審査を経て19年前半に合併手続きの完了をめざす。契約者数は1億2600万人となり、1億5千万人のベライゾン・コミュニケーションズ、1億4千万人のAT&Tに迫る。

 TモバイルのレジャーCEOはビデオメッセージで「我々が一緒になればどんな競争力を発揮するか想像できるだろうか。AT&Tやベライゾンは気をつけたほうがいい」と語った。通信速度が現行の100倍となる次世代通信規格、5G対応などに3年で400億ドルを投資する。合併により年間60億ドルのコスト削減も見込む。

 ソフトバンクは人工知能(AI)や自動運転車の普及に不可欠な5Gの投資競争を急ぐため、経営の主導権を譲って合併を優先したとみられる。

 ソフトバンクは13年に総額約2兆円を投じスプリントを買収した。当時からTモバイルの買収を検討したが、米連邦通信委員会(FCC)の反対で頓挫した経緯がある。今回も合併実現までに、FCCなど規制当局の審査に1年程度かかる可能性がある。

 スプリントがソフトバンクの連結対象から外れることで、同社の財務や業績は大きく改善しそうだ。スプリントの有利子負債は17年末時点で4兆1千億円と、ソフトバンク連結全体(約14兆7000億円)の3割近くに上る。スプリントは利払い費が年2700億円に上り、最終赤字が続く要因になっていた。

 統合が実現すれば2020年3月期からスプリントは連結対象から外れ、ソフトバンクは懸案の有利子負債と利払い費を一気に減らせる。ソフトバンクの財務・業績が改善すれば格下げ圧力が和らぎ、10兆円ファンドを軸にした新規事業に注力しやすくなる。

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