スプリントとTモバイルUSの合併は4年前に米独禁当局の強い反対でとん挫した。当時のオバマ政権からトランプ政権に変わったとはいえ、今回も承認確保は容易ではない。
米携帯電話事業者の大手4社のうち2社による合併案は、業界の競争を阻害する可能性があるか米司法省が本格的な調査を行うことになる。2014年に両社の合併案が浮上した際、同省は却下する姿勢を打ち出していた。
米司法省反トラスト局の元幹部デービッド・トゥレツキー氏は「歴史を振り返れば、この合併に司法省が異議を唱えないとは考えがたい」と指摘。「基本的には携帯電話事業者が4社から3社に減るという話だ。両社は業界には10社あると主張しているが、上位4社の2社であることに変わりはない」と話した。
スプリントとTモバイルが保有する無線通信用の周波数帯は補完的で、5G通信網を構築する上で戦略的な優位になり得る。Tモバイルが窓や壁を通過して長距離の伝送が可能な低い周波数帯について多数の資産を保有する一方、スプリントは情報伝送容量が大きいものの距離は限られる高周波数帯で米国随一の資産を持つ。
モフェットネーサンソンのアナリスト、クレイグ・モフェット氏は「両社は合併して初めて5Gに必要な投資ができるようになると主張するだろう。その主張は恐らくかなりの部分が真実だ」と述べた。
ただ、スプリントはソフトバンクの傘下にあり、TモバイルUSはドイツテレコムの子会社だ。合併後の新会社も外国資本となるため、外国投資家による米企業買収を審査する対米外国投資委員会(CFIUS)の調査も受ける可能性がある。両社の合併にはさらに、連邦通信委員会(FCC)の承認が必要になる。
RBCキャピタル・マーケッツのアナリスト、ジョナサン・アトキン氏は30日のリポートで、合併の結果生じる業界の集中や構造に司法省が適用する「基準に基づくと、スプリントとTモバイルUSの取引が承認される可能性は50%未満」だとの見方を維持していると説明した。
原題:Sprint-T-Mobile Deal Faces Tough Path in Trump’s Washington (1)(抜粋)
Read Again https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-04-30/P7ZZ1J6JIJUP01
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