【ニューヨーク=中山修志】ソフトバンクグループ傘下で米携帯4位のスプリントと同3位のTモバイルUSは29日(米国時間)、経営統合することで合意したと発表した。ソフトバンクとTモバイルの親会社ドイツテレコムが互いに主導権を主張し交渉は難航したがソフトバンクが側が譲歩し、統合会社をドイツテレコムの連結対象にすることで決着した。米規制当局が承認すれば、携帯市場は3強時代に突入する。
統合は株式交換によって行い、交換比率はTモバイル1株に対しスプリント9.25株。統合会社の社名は「Tモバイル」とし、Tモバイルのジョン・レジャー最高経営責任者(CEO)がCEOを務める。スプリントのマルセロ・クラウレCEOとソフトバンクグループの孫正義CEOは統合会社の取締役に就く。
スプリントとTモバイルの契約者数は合わせて1億2600万人となり、1億5千万人のベライゾン・コミュニケーションズ、1億4千万人のAT&Tに迫る。TモバイルのレジャーCEOはビデオメッセージで「我々が一緒になればどんな競争力を発揮するか想像できるだろうか。AT&Tやベライゾン、(米ケーブルテレビ最大手の)コムキャストは気をつけたほうがいい」と語った。
通信速度が現行の100倍の次世代通信規格「5G」の商用化は目前に迫っている。ネットワークの整備には巨額の設備投資がかさみ、ケーブルテレビ事業者などとも顧客の獲得を競うことになる。
ソフトバンクは5Gの競争を勝ち抜くためには規模の拡大が欠かせないと判断し、経営の主導権を譲って統合を優先したとみられる。両社は統合により顧客基盤を固め、3年で400億ドル(約4兆3千億円)を5Gなどに投資する計画という。
ソフトバンクは13年に総額約2兆円を投じスプリントを買収した。このころからTモバイルの買収を検討したが、米連邦通信委員会(FCC)の反対で頓挫した経緯がある。両社は統合に合意したが、FCCなど規制当局の審査に1年程度かかる可能性がある。米司法省も反トラスト法(日本の独禁法に相当)に触れるかどうかを審査することになる。
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