【ニューヨーク=中山修志】ソフトバンクグループ傘下で米携帯4位のスプリントと同3位のTモバイルUSは29日(米国時間)、2019年をめどに合併することで合意したと発表した。合併会社はTモバイルの親会社ドイツテレコムの連結対象となり、ソフトバンクの持ち分法適用会社になる。米規制当局が承認すれば、携帯市場は3強時代に突入する。
合併会社の社名は「TモバイルUS」とし、Tモバイルのジョン・レジャー最高経営責任者(CEO)がCEOを務める。合併は株式交換によって行い、合併後の持ち株比率はドイツテレコムが41.7%、ソフトバンクが27.4%。ソフトバンクは自社が保有する議決権を間接的に行使できる権利をドイツテレコムに付与する。
Tモバイルが9人、スプリントが4人の取締役を指名し、スプリント側からはマルセロ・クラウレCEOとソフトバンクの孫正義社長が取締役に就く予定。経営権はドイツテレコムが握り、スプリント株の8割を保有するソフトバンクの影響力は限定的になる。
両社は規制当局の審査を経て19年前半に合併手続きの完了をめざす。合併会社の契約者数は1億2600万人となり、1億5千万人のベライゾン・コミュニケーションズ、1億4千万人のAT&Tに迫る。
TモバイルのレジャーCEOはビデオメッセージで「我々が一緒になればどんな競争力を発揮するか想像できるだろうか。AT&Tやベライゾン、(米ケーブルテレビ最大手の)コムキャストは気をつけたほうがいい」と語った。3年で5Gなどに400億ドル(約4兆3千億円)を投資し、年間60億ドルの合併によるコスト削減効果を見込む。
通信速度が現行の100倍の次世代通信規格「5G」の商用化は目前に迫っている。ネットワークの整備には巨額の設備投資がかさみ、ケーブルテレビ事業者などとも顧客の獲得を競うことになる。
ソフトバンクは5Gの競争を勝ち抜くためには規模の拡大が欠かせないと判断し、経営の主導権を譲って合併を優先したとみられる。両社は合併により顧客基盤を固め、3年で400億ドル(約4兆3千億円)を5Gなどに投資する計画という。
ソフトバンクは13年に総額約2兆円を投じスプリントを買収した。このころからTモバイルの買収を検討したが、米連邦通信委員会(FCC)の反対で頓挫した経緯がある。
両社は合併に合意したが、FCCなど規制当局の審査に1年程度かかる可能性がある。米司法省も反トラスト法(日本の独禁法に相当)に触れるかどうかを審査することになる。
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