23日の東京株式相場は小幅安。長期金利の上昇が米国景気に今後悪影響を及ぼすと懸念されたほか、米アップルの業績不安も重しとなった。アルプス電気などアップルのサプライヤー企業も含む電子部品株が下落。業種別では精密機器や電機、化学株が下げ、食料品など内需株も安い。
半面、為替の安定は投資家心理にプラスに働き、米金利上昇による利ざや改善期待から保険、銀行など金融株は高く、相場全般を下支えした。
TOPIXの終値は前週末比0.34ポイント(0.02%)安の1750.79と小幅ながら4営業日ぶりに反落、日経平均株価は74円20銭(0.3%)安の2万2088円04銭と続落。
JPモルガン・アセット・マネジメントの重見吉徳グローバル・マーケット・ストラテジストは、「米長期金利の上昇でインフレや企業活動の抑制が意識され、上値は重い」と指摘。また、安倍内閣の支持率低下の報道も相次ぎ、「海外投資家にとってネガティブな材料。アベノミクスや金融緩和が後退するとの懸念は意識されやすい」とも話した。
20日の米10年債利回りは2.96%と5ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇、約4年ぶりの高水準に達した。背景には、商品市況の高止まりなどからインフレへの警戒がある。
また、米モルガン・スタンレーはiPhone(アイフォーン)の2018年度出荷予想を2億1700万台から2億1000万台に引き下げた。これを受け、20日のアップル株は4.1%安と大幅続落、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)も1.2%安と続落した。
一方、前週末に北朝鮮が核実験とミサイル(ICBM)の実験停止を表明し、東アジアの地政学リスク後退から為替はドル高・円安基調。ドルは対円で2月以来の高値に戻し、一時1ドル=107円89銭まで円が弱含んだ。岡三証券の山本信一シニアストラテジストは、「一時1ドル=104円まで円高が進んだ際に過度な減益懸念は広がったが、現状近辺なら増益は確保できるレベルで、安心感につながっている」と言う。
週明けの日本株は米金利の上昇やテクノロジー株下落への懸念、地政学リスクの後退や為替の円安推移に対する安心感が交錯し、TOPIXは小幅高、日経平均は小幅安とまちまちで取引を開始。その後TOPIXは前週末終値を挟みもみ合い、日経平均も一時プラス場面はあったが、午後は終始マイナス圏で軟調な値動きとなった。
東海東京調査センターの平川昇二チーフグローバルストラテジストは、米長期金利上昇には原油高が影響しており、「インフレによって減税効果がなくなりかねない。3%を超えると米国だけでなく世界経済を冷やす」と懸念を示している。また、読売新聞が20ー22日に行った世論調査では、安倍内閣の支持率は39%と前回調査から3ポイント下がった。
東証1部33業種は精密機器、食料品、倉庫・運輸、陸運、建設、化学など17業種が下落。上昇は保険、銀行、鉄鋼、海運、証券・商品先物取引、非鉄金属、卸売など16業種。売買代金上位では、アップル関連の村田製作所やアルプス電気、ローム、TDKが安く、SMBC日興証券が青陵力は織り込み済みと判断したテルモも売られた。半面、第一生命ホールディングスやT&Dホールディングス、りそなホールディングスは高く、大型LNGプラントを受注と日本経済新聞が報じた日揮も上げた。
- 東証1部の売買高は13億4383万株、売買代金は2兆1614億円
- 値上がり銘柄数は955、値下がりは1035
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