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3日の東京株式相場は4営業日ぶりに反落。イタリアの財務懸念などを背景にした為替の円安一服が嫌気され、連日のバブル経済崩壊後の高値更新による短期過熱感も重しとなった。米国の自動車販売が減少した自動車株など輸出セクター、米長期金利の低下を受け銀行、保険株も安い。
TOPIXの午前終値は前日比3.09ポイント(0.2%)安の1820.94、日経平均株価は13円41銭(0.1%)安の2万4257円21銭。
大和証券の壁谷洋和チーフグローバルストラテジストは、「連日の高値更新に対するスピード調整に加え、週末の米国雇用統計の結果を見極めたいことから、日本株の上昇に一服感が出ている」と指摘。要人発言に揺れるイタリア情勢は、市場で大騒ぎになっているわけではないとしながらも、「欧州で決して無視できない経済規模があり、注意は必要」と話した。
イタリア下院予算委員会のボルギ委員長が、同国は独自通貨を用いれば債務問題を解決できるだろうと発言。ポピュリスト政権が提案した2019年予算が引き続き重しとなる中、2日のイタリア10年債利回りは3.40%と10ベーシスポイント上昇した。
イタリア財政問題への警戒で為替市場ではリスク回避の動きが出て、きょうのドル・円は一時1ドル=113円50銭台と前日の日本株終値時点113円81銭からドル安・円高方向に振れた。
この日の日本株は為替の動きに加え、テクニカル指標からみた過熱警戒感から反落して開始。日経平均の下げ幅は一時150円を上回った。東証1部の上昇・下落銘柄数の百分比を示す騰落レシオは123%と、依然過熱圏を示す120%以上が続く。日経平均は前日もバブル崩壊後の高値となる1991年11月以来の水準を更新していた。いちよしアセットマネジメントの秋野充成執行役員は、「日本株が高値圏にあり、期初に行う国内金融機関による益出しが例年より出やすい」と言う。
ただし、TOPIXは一時プラス浮上場面もあるなど下方圧力は限定的。午前途中には、イタリア下院予算委員会のボルギ委員長がユーロ圏を離脱する考えはなく、決定した財政赤字目標を堅持するとの発言を受け、円は対ユーロを中心に弱含む動きもあった。大和証の壁谷氏は、「企業業績は良好で、株価の下落局面では押し目買いも入りやすい。スピード調整による下落は健全な域」と話していた。
- 東証1部33業種は輸送用機器、情報・通信、石油・石炭製品、銀行、保険、空運、食料品、電機、不動産などが下落、上昇はパルプ・紙、電気・ガス、建設、倉庫・運輸、医薬品など
- 売買代金上位では、米販売台数が減少したトヨタ自動車やホンダ、日産自動車が安く、株価に成長は織り込み済みとクレディ・スイス証券が指摘したオリエンタルランドも下落
- 半面、9月の建設事業受注高が過去最高に次ぐ水準と野村証券が評価した大東建託が買われ、9月の既存店売上高が2カ月連続でプラスのアダストリアは急伸
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