シャープは10月3日、自社製の有機ELディスプレイ(OLED)を搭載したスマートフォン「AQUOS zero」を発表しました。
この有機ELパネルは、三重県多気市にある三重工場と、大阪府堺市にある堺工場で製造した日本製。シャープの小林繁氏(パーソナル通信事業部長)によると、製造工程の前半を三重工場が、後半を堺工場が担当しています。
有機ELは液晶に比べて高色域でコントラスト比が高く、画質面で有利なほか、バックライトが不要で大幅な薄型化が可能。さらに曲面形状にできるなど、デザインの自由度を高められる利点があります。
アップルのiPhone Xをはじめ有機ELの採用例が増える一方、その供給は韓国サムスンとLGがほぼ独占。日本では、JDIとパナソニック、ソニーの有機EL部門を統合したJOLEDも印刷方式の開発に取り組んでいますが、量産化は2020年頃となる見通しです。
▲国産有機ELを搭載したシャープ「AQUOS zero」
そんな中、シャープが一足早く量産化した「AQUOS zero」の有機ELは、6.2インチと大画面。また2992 x 1440ドットと高精細で、側面から中央にかけて盛り上がる曲面形状を採用します。デジタルシネマ標準規格のDCI-P3を100%カバーする広色域のほか、100万:1のコントラスト比、HDR対応も売りにします。
『有機ELについては2016年9月に投資を判断し、順調に開発を進めてきた。液晶の技術も活用し、ついに商品化できるレベルに到達した』(シャープ通信事業本部長の中野吉郎氏)
▲シャープ 通信事業本部長の中野吉郎氏
シャープの有機ELを積んだiPhoneは登場するか
「AQUOS zero」の有機ELパネルを前にすると、他社の有機ELと遜色のない美しい画質に圧倒されます。ここは、シャープ製の有機ELを搭載したiPhoneの登場にも期待したいところです。シャープの担当者は、有機ELパネルの他社メーカーへの供給について『管轄外』として明言を避けつつも『広く広く、広めていくのが当然という認識』と語り意欲を示しました。これが実現すれば、有機ELにおける韓国勢の独占に風穴をあけることになります。
▲シャープ パーソナル通信事業部長の小林繁氏
なお、シャープはこれまで自社開発のIGZO液晶を売りにしてきました。今回有機ELにシフトした理由について、シャープの小林氏は次のように語ります。
「有機ELには有機ELにしかない特徴がある。薄型軽量で、曲げることもできる。これはIGZO液晶では実現できない。軽量化のニーズは今後も拡大していくなかで、有機ELはパワフルかなと思っていたので、採用を決めた」(小林氏)
なお、IGZO液晶にも発色・省電力・タッチパネル感度などの利点があるとして、今後もハイエンドモデルに液晶を採用する場合もあるとしています。
Read Again https://japanese.engadget.com/2018/10/03/el/
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