東京外国為替市場で、ユーロ・ドル相場は早朝に2015年1月以来のユーロ高・ドル安水準を更新した。前週末の米ワイオミング州ジャクソンホールの年次シンポジウムでの各国中銀総裁発言を受けたドル売り圧力が対欧州通貨で根強く残っている。
28日午前9時36分現在のユーロ・ドルは、前週末比0.1%高の1ユーロ=1.1932ドル。一時は1.1965ドルと2015年1月6日以来のユーロ高値を付けた。一方、ドル・円相場は1ドル=109円18銭前後で推移している。
週末にかけて開かれたジャクソンホール会合では、ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁はユーロ高けん制発言を行わなかったほか、イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長も市場が注目した金融政策に関して言及しなかった。
JPモルガン・チェースの佐々木融市場調査本部長は、「イエレンFRB議長の後は全般的なドル売りになり、ドラギECB総裁の後はユーロも買われているが、全般的には欧州通貨買い。欧州通貨の中ではユーロが少し強いが、ユーロ独歩高ではない。ドルから逃げていく通貨がユーロ、欧州通貨に集まっているフローが出ているのだろう。ドル安、円安、ドルの方が弱いからドル・円が少し落ちている」と説明した。
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FXプライムbyGMOの柳沢浩チーフアナリストは、イエレンFRB議長の発言に関して、「利上げは予定通り行いたい、量的緩和縮小もできるだけ早くといったことを市場は期待していたが、全く触れなかった」と指摘。一方、「ドラギECB総裁からもユーロ高けん制発言はなかった。ドル弱いという印象が強まった。ユーロ高が目立ったトレンドだろう」と語った。
日本銀行の黒田総裁は25日のブルームバーグとのインタビューで、2%のインフレ目標達成の見通しがたたない中、足元の高い経済成長は持続不可能だとし、当面は非常に緩和的な金融政策を続ける必要があると発言。また金利維持に必要な国債購入額は今後数カ月減少するとの見方を示した。
三菱東京UFJ銀行金融市場為替グループの野本尚宏調査役は、「黒田日銀総裁発言は、相場的に影響は限定的。目先的に日銀は動きづらい状況。物価が上がらないなかで緩和は続けるしかない。円については材料は出尽くしている感じがする」と分析した。
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