2017年8月26日土曜日

米・欧の中央銀行トップ、トランプ政権の規制緩和に警鐘

 米国での中央銀行関係者のシンポジウムで、米欧中銀トップが金融規制の重要性に言及した。リーマン・ショックから10年近くとなり金融危機の記憶が薄れる中、米トランプ政権は規制緩和を打ち出しており、その流れに警鐘を鳴らした。

 「強い金融システムは、力強い世界経済に決定的に重要だ」。25日、米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長は講演で、危機後に強化した金融規制の重要性を強調した。小規模銀行への見直しには賛同したが、見直しは「控えめであるべきだ」と述べた。米国では金融機関の健全性を求める方向へ規制が強化されたが、トランプ政権は成長を優先して規制緩和へ向かっている。イエレン氏は来年2月の任期切れを前にそうした政策を牽制(けんせい)した。

 欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は講演で、先進国の経済成長には「開かれた貿易や投資が重要」と、保護主義への対抗姿勢を示した。また「強い(金融)規制が、大きな副作用もなく長期間の低金利を可能にした」とも指摘した。

 金融危機後に日米欧の中銀は大規模な金融緩和を行い、危機を脱して経済は上向いた。米欧では緩和縮小の「出口」も視野に入る。さらなる成長には政府の政策対応が重要だとの意見は根強い。シンポに出席した、ブッシュ政権時代の経済顧問のグレン・ハバード氏は取材に「中銀は重荷を背負わされて不満を持っている。ドラギ氏が話していたが、政治家は構造改革や税制改革をせずに中銀を見続けている」と語った。(ジャクソンホール〈米ワイオミング州〉=五十嵐大介

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