【ジャクソンホール(米ワイオミング州)=河浪武史】米連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長は25日の講演で、2008年の金融危機以降の規制強化で金融システムが安定したとの認識を示し、成果を強調した。一方で、規制を一部緩めて貸出業務を後押しするため「中小、中堅規模の銀行の規制簡素化を検討している」と指摘した。追加利上げなど金融政策には言及しなかった。
イエレン氏は各国の中央銀行首脳らが集まる当地での経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)で「危機開始後の10年間の金融安定」と題して講演した。低所得者向け住宅ローンのバブルが崩れた07年以降の金融監督体制を詳述。「新たに導入した健全性審査によって『大きすぎてつぶせない』という巨大銀行の問題は十分に減退した」などと主張した。
そのうえで「広範な金融規制の枠組みの見直しは検討に値する」と強調。トランプ政権が公約としてきた金融規制の緩和にも一定の理解を示した。具体的な見直しの方向では「中小や中堅規模の銀行に適用する規制の簡素化」などを挙げた。
FRBは9月19~20日に次回の米連邦公開市場委員会(FOMC)を開くが、イエレン議長は今回の講演で金融政策に触れるのは避けた。FRBは量的緩和で買い入れた米国債などを大量に保有しており、バランスシートの圧縮が利上げに続く政策課題となっている。金融市場はFRBが9月の次回会合で資産縮小を決定すると既に織り込んでおり、イエレン氏は新たな情報発信は必要ないと判断したとみられる。
ジャクソンホール会議ではイエレン氏のほか欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁も講演を予定しており、量的緩和の縮小など政策論にどこまで踏み込むかが焦点だ。
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