2017年8月1日火曜日

日銀審議委員 大規模緩和への反対派退任の影響は?

「日銀の審議委員の役割と、委員交代が政策にどう影響するのか教えてください」(埼玉県、70代男性)

マネーを呼ぶ「マネ~き(招き)猫」のヴェリーが、読者の疑問を解決します。

 日銀の金融政策は9人の政策委員が金融政策決定会合を開いて決めます。このうち総裁と2人の副総裁を除いた6人のメンバーが審議委員です。多数決を行う際は総裁らと同じく投票権を持つため、政策決定に重要な役割を果たします。

 審議委員は国会の同意を得た後、内閣の任命によって決まります。任期は5年。経済学者やエコノミストのほか、大手銀行やトヨタ自動車や商船三井といった事業会社の元役員が務める場合が多いです。決定会合での賛否は直後に明らかになりますが、会合での主な意見は匿名で公表され、誰がどう発言したのかは議事録が公表される10年後まで分かりません。国内各地で金融経済懇談会に出席した際に記者会見を開き、それぞれの主張を聞くことができます。

 この7月に任期満了に伴い退任するのはエコノミストの佐藤健裕氏と木内登英氏。2人は現在の金融政策が2016年の9月に導入された際などに、大規模な金融緩和の副作用を懸念して反対票を投じてきました。

 一方、新たに審議委員に加わるのは三菱東京UFJ銀行出身の鈴木人司氏とエコノミストの片岡剛士氏。片岡氏は積極的な金融緩和を支持する「リフレ派」として有名です。これで政策委は全員、第2次安倍政権が任命したメンバーとなります。

 最近の会合では木内氏と佐藤氏が反対票を投じても、黒田総裁ら執行部を含む7人が圧倒的多数で賛成するため金融政策の決定に大きな影響はありませんでした。新たな審議委員が加わっても、すぐにいまの金融政策の方向性が大きく変わることはなさそうです。

[日経ヴェリタス2017年7月23日付]

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