仮想通貨交換会社コインチェックから約580億円分のNEM(ネム)が流出した事件で、NEMの普及を図る国際団体「NEM財団」は20日、NEMの追跡を停止したと発表した。流出したNEMはすでに350億円程度が他の仮想通貨に交換されており、これ以上の追跡効果は薄いと判断したとみられる。
財団は1月26日の流出以降、特定のNEMに「モザイク」と呼ばれる目印をつける機能を使ってネットワーク上で取引の流れを追跡していたが、3月18日にこのモザイクを外したという。財団は「法執行機関に実用的な情報を提供できた」としているが、追跡停止の詳しい理由は明らかにしていない。
犯人側は匿名性の高い「ダーク(闇)ウェブ」のサイトを介し、NEMをビットコインなど他の仮想通貨に交換する動きを広げている。情報セキュリティー会社エルプラスの杉浦隆幸社長によると、流出したNEMの6割超(350億円相当)がすでに他通貨に交換されたという。
今では事件とは関係ない多くの人の口座に流出したNEMが分散している。専門家は「モザイクがついたNEMを持っていると犯人に間違われるといった不都合も目立ってきた」(ブロックチェーン大学校のジョナサン・アンダーウッド代表)と指摘する。
「いったん仮想通貨が流出すると取り戻せた例は過去にもほとんどない」(大和総研の矢作大祐氏)といい、交換会社は一段とセキュリティー強化を求められそうだ。
今後、流出経緯の解明などは捜査当局に委ねられる。警視庁は捜査本部を設置し約100人体制で調べている。流出前にコインチェックのシステムが欧米のサーバーと不審な通信をしていたことを確認。流出に関与した人物が不正アクセスしNEMの移動に必要な「秘密鍵」を盗んだとみられるが、発信元の特定には至っていない。捜査本部はダークウェブ上でNEMと交換された仮想通貨の追跡も続けている。
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