2018年3月16日金曜日

アマゾンに切り込む公取委

 公正取引委員会がネット通販大手のアマゾンジャパンに立ち入り検査を実施した。取引業者に対する優越的な地位を乱用して、アマゾンの実施した値引き販売の原資の一部を負担させるなどしていた独占禁止法違反の疑いだ。

 日本でも売上高が1兆円を超えるまでに成長したアマゾンだが、その存在感が増すにつれ、周辺との摩擦も目立っている。

 アマゾンには、電子商取引のリーダー企業という立場を自覚し、透明で公正な商慣行に徹する努力を、公取委には監視の目を強め、巨人の横暴なふるまいの抑止や是正をそれぞれ求めたい。

 公取委による立ち入り検査は一昨年に続き2回目。前回は、アマゾンが取引業者に対し、他の電子商取引(EC)サイトと同じか、より安い価格で出品を求める「最恵待遇条項」が問題になった。この時はアマゾンが自主的に契約内容を見直すことで決着した。

 ほかにも「強引すぎる」と物議をかもす例が後を絶たない。2016年に始めた電子書籍の「読み放題」サービスでは、一部の書籍を突如、対象から外し、講談社などから抗議を受けた。

 昨年11月にはアマゾンの自社商品と競合するLINEのスマートスピーカーがアマゾンのサイトで購入できなくなり、LINE幹部が不快の念を表明した。

 これらの行為は直ちに契約違反や違法とは言えないにしても、少し大人げなくはないか。

 「顧客第一」を掲げるアマゾンは、翌日配送など便利で快適なサービスを提供し、消費者の支持を広げてきた。それは評価に値するが、急成長したのに伴い、同社への社会の視線は厳しさを増していることを自覚してほしい。

 公取委はカルテルのような伝統的な独禁法違反の摘発には熱心だったが、アマゾンやグーグルなどサイバー空間の寡占企業には弱腰との指摘もあった。各国の競争当局とも連携しつつ、グローバルな巨人たちの反競争的な行為にも正面から向き合ってほしい。

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