2018年3月22日木曜日

バニラエアをピーチに統合--中距離LCC早期実現でアジアのリーディングLCCへ

ANAホールディングスは3月22日、Peach Aviationとバニラ・エアを2018年度下期より統合に向けたプロセスを開始し、2019年度末を目途にピーチを基盤に統合することを発表した。お互いの強みを生かしながら双方のリソースを統合し、スケールメリットで競争力を高めることがアジアのリーディングLCCへの近道であるということを3社で共通認識した上で、新ピーチにおいて中距離LCCの早期実現を目指す。

「2025年までに中距離LCC」では間に合わない

ANAHD代表取締役社長の片野坂真哉氏によると、両社統合の構想は2017年2月にピーチ連結子会社化したあたりから強くなり、2017年秋頃にピーチCEOの井上慎一氏とバニラ代表取締役社長の五島勝也氏との話し合いの中で具体的になったと話す。井上氏はピーチ単独で2025年までに中距離路線の展開を構想していたが、昨今の外航・本邦LCCの競争の激化を受け、それでは間に合わないという判断から、バニラエアも今期黒字化が見えてきた今、両社の力を結集させる選択をした。

ピーチは"空飛ぶ電車"をコンセプトに、2012年3月に日本初のLCCとして関空より就航。2年1カ月には単年度黒字、5年目には累損を解消するなど、安定した経営を展開していた。一方のバニラは、成田空港にて2013年12月の就航以来、首都圏需要を背景に国内線・国際線において、積極的に路線ネットワークを拡大。奄美路線をはじめ新たなプレジャー需要を創出、また、激戦の台湾路線において実績を積み上げてきた。

ANAグループにおいてはこれまでと同様、経営の独自性を尊重する。その上で、ピーチとバニラの両者の強みと人的リソースを結集させ、統合後のピーチとフルサービスキャリアのANAのANAグループ全体で安全運航を堅持し、様々な顧客のニューズに合わせたサービスを提供。新ピーチは国内第3位の航空会社を目指し、グループ全体で収益の最大化を図る。ピーチには現在約1,000人のバニラには約700人のスタッフがいる。井上氏は「お互い違う文化があることを認識しているが、その両社が統合することで新たなダイバーシティーになる」と話す。

現在の機材数は35機であるが、2020年以降、新ピーチは50機を超える機材と国内・国際線合わせて50路線以上の規模で、日本とアジアをつなぐ路線ネットワークのさらなる拡充を図る。さらに、2020年を目途に中距離LCC領域へと進出し、成長著しいアジアの需要を積極的に取り込むことで、訪日外国人旅行者数を4,000万人とする政府目標の実現させる。2020年度には売上高1,500億円、営業利益150億円規模の目標を掲げ、統合による諸施策を実施することで、ユニットコスト低減などの運営の効率化を推進する。

バニラの首都圏マーケットも生かした路線へ

今回の統合に対して五島氏は前向きにとらえているとしており、バニラエアがもつ首都圏機能はそのまま引継ぎ、今後も強化していく。ピーチは今後も大阪に本社を置くとしているが、首都圏マーケットの大きさを踏まえ、本社機能の一部を成田に移設する可能性もあるとしている。

両社の現在の路線は、ピーチが国内線15路線・国際線14路線、バニラが国内線6路線・国際線7路線であり両社が重複している路線は3路線だけとなっている。今後の路線については顧客の利便性や稼動効率、就航都市との協力関係など、総合的に判断しながら定める。

ピーチとバニラの主要顧客層は20~30代であり、特にピーチは女性利用者が6割を占めるという特長がある。また、両社ともに国際線では外国人が7割程度と高く、井上氏は今後の外航LCCとの競争においても優位に展開できるという考えている。中距離LCCの機材に関しては未定としているが、井上氏は「できればワイドボディーを導入したい」と話している。

統合へのスキームとしてはこれから定めるとしており、バニラエアも統合の最後まで運航を続ける。統合後についてはピーチのシステムを運用する予定だが、マイレージやバニラが参画しているLCCアライアンス「バリューアライアンス」については、サービス内容を改めて見直すことで今後検討していくとしている。

また、今回の統合とは別軸で、ANAHDとファーストイースタンアビエーションホールディングスの2社は3月22日、ピーチ株式の資本構成を変更することに合意し、株式譲渡契約を締結した。ANAHDは113億円で株式を取得する。

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