一部の客の理不尽な要求から従業員を守るべきだとして、小売りやサービス業の労働組合が法整備を求めています。
組合員を対象にした調査で、迷惑行為を経験したとの回答が7割にのぼったからです。働く人たちを守る切り札になるでしょうか。
「世の中全体として変えていくには、法的な対応が必要だ」。繊維・流通・食品など2400以上の労組が加盟する産業別労組「UAゼンセン」の松浦昭彦会長は、先月10日の記者会見でこう強調した。
松浦会長は会見に先立ち、加藤勝信厚労相に客の迷惑行為から従業員を守るための法整備を要請した。加藤氏は実態を把握し、厚労省の審議会で議論していく考えを示した。
UAゼンセンは、組合員数178万人の日本最大の産業別労組だ。高島屋やイオングループ、イトーヨーカドーなど大手企業の労組も多く加盟する。
ゼンセンは昨年夏、百貨店やスーパーなど流通業の組合員5万人を対象に調査を初めて実施した。その結果、74%が業務中に客からの迷惑行為にあったと答えた。「暴言を吐かれる」が28%と最も多く、「何度も同じクレームを繰り返される」「権威的な態度を取られる」「威嚇・脅迫される」などが続いた。
業種別では、高額な商品を扱い、接客時間が長くなりがちな百貨店や家電業界で、迷惑行為の経験者が8割を大きく超えた。
今年2〜5月には、外食やホテルなどサービス業の組合員3万人も対象に調べた。ここでも、74%が暴言などの迷惑行為を受けたことがあると答えた。
悪質なクレームには強要、監禁、暴行などの犯罪と紙一重な案件もあるが、大半の企業では対応が現場にまかされ、どの段階で警察に通報するべきかなどの境界線があいまいだ。ゼンセンは現場まかせに限界がきているとして、従業員保護を企業に義務づける法律の制定を今後も訴えていくという。
クレームへの統一した対応方針を打ち出した業界もある。
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