【フランクフルト=深尾幸生】ドイツ政府は2日、同国内のディーゼル車約530万台を自動車メーカーの負担で修理すると発表した。排ガスの制御ソフトを修正し、大気汚染物質の排出を抑制する。同国政府とメーカー各社が合意した。英仏が2040年のディーゼル・ガソリン車の販売禁止を打ち出すなか、環境対応の強化で主力であるディーゼル車の延命を目指す思惑が透ける。
大気汚染の抑止策を協議する目的で独政府とメーカーがベルリンで開いた「ディーゼルフォーラム」で合意した。現行の排ガス規制の「ユーロ6」対応車の一部と1世代前の「ユーロ5」対応車の合計約530万台を対象に、排ガス制御ソフトを修正する。これは同国のディーゼル登録車の3割強に相当する。
独フォルクスワーゲン(VW)グループと独ダイムラー、独BMW、独オペルがそれぞれ費用を負担する。大気汚染物質の窒素酸化物(NOx)の排出を25~30%抑えることを目指す。
ソフト改修に必要なコストは1台あたり1万円程度。同20万円前後の浄化装置の追加設置を求める構想もあったが、メーカーが受け入れやすい選択肢に落ち着いた。ダイムラーのディーター・ツェッチェ社長は「最も効果的な手段だ」と合意を歓迎した。
ソフト改修に加え、古いディーゼル車を持つ消費者が最新の環境対応車に買い替える際の奨励金をメーカーが負担する。BMWは09年以前の「ユーロ4」より古いディーゼル車から買い替える場合、2千ユーロ(約26万円)を割り引く。買い替え対象には最新のディーゼル車も含める。
VWによる排ガス規制を逃れるための不正発覚以降、欧州を中心にディーゼル車への不信が高まっている。英仏が将来の販売禁止という厳しい措置を打ち出したのに対し、ドイツはディーゼル車の「延命」を図る方針を鮮明にした。
同国の新車販売(乗用車)に占めるディーゼル車比率は約4割。自動車メーカー経営の柱の一つで約80万人の関連雇用を支える。主力産業を危機にさらすことを避けるため、当面のディーゼル車存続に保証を与えた格好だ。ただ消費者の反発が収まるかは不透明で、合意文書には「効果次第ではさらなる行動が求められる」との一文も盛り込んだ。
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