2017年8月2日水曜日

ビットコイン新通貨「BCC」誕生 分裂騒動収束へ

 代表的な仮想通貨ビットコインが日本時間2日未明に分裂し、新たな通貨「ビットコインキャッシュ(BCC)」が誕生した。ビットコインの取引急増に対する解決策がまとまらず、中国の一部事業者が「分派活動」を強行した。分裂により規格が2つ併存するが、決済の中心は引き続きビットコインになる見通し。国内の各取引所は順次、ビットコインの入出金を再開予定で、先月から急激に高まった分裂騒動はいったん収束に向かう。

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 複数の国内仮想通貨取引所によると、日本時間午前3時ごろに分裂に必要な作業が完了した。分裂を主導した中国の事業者、ヴィアBTCは公式ツイッターで「BCC、世界へようこそ」と投稿し、新通貨の誕生をアピールした。

 ビットコインは最近の仮想通貨ブームで取引が急増し、取引確定に時間がかかっていた。処理容量引き上げの手法を巡り、複数の業者同士が対立。ヴィアBTCが新通貨BCCをつくる構想を表明していた。

取引されるビットコインキャッシュを示す画面
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取引されるビットコインキャッシュを示す画面

 分裂によりビットコインと同量のBCCが誕生し、国内の各取引所はビットコインの保有量に応じて利用者にBCCを無償で付与する。BTCボックス(東京・中央)は午前5時45分にBCCと円との交換を始め、初値は2万円だった。9時時点では4万円前後で推移している。

 一方、情報サイトの米コインデスクによると、ビットコインの価格は2700ドル(約29万8000円)前後で推移している。分裂作業が実際に表面化した1日夜と同水準での値動きで、「当初想定したより安定している」(国内取引所)との声が聞かれた。

 分裂による取引履歴の消失など不測の事態を避けるためビットコインの入出金を一時停止していた各取引所は順次、取引再開を予定する。「ビットポイントジャパン」を運営するリミックスポイントは「大きな混乱は見られない」として、午後4時をメドに再開予定。ビットバンク(東京・品川)も安全性を確認して2日中にも再開するという。

 ビットコインに対抗する形で生まれたBCCだが、海外送金や物販などの決済手段としては引き続きビットコインが主流になるとの見方が大半だ。すでにビットコイン決済を導入しているビックカメラは「BCCの取り扱いに関しては未定」(広報担当者)としている。情報サイトのコインマーケットキャップによると、ビットコインの時価総額は5兆円前後とBCC(6000億円前後)の約8倍で、仮想通貨全体の約半分を占める。

 BCCの誕生で、ビットコイン分裂騒動はいったん収束に向かう。ただビットコインは11月に処理容量の引き上げを予定しており、その手法を巡り、騒動が再燃する可能性が残る。

 ▼ビットコイン 世界中で約800種類あるとされるインターネット上のお金「仮想通貨」の代表格。「サトシ・ナカモト」を名乗る人物が提案した仕組み「ブロックチェーン(分散台帳)」によって取引履歴を取引参加者のコンピューターに分散して記録するため、中央銀行のような管理者がいない。
 年初から約3倍に価格が上昇し、時価総額は5兆円前後まで膨らんでいる。「取引所」と呼ばれる専門事業者を通じて、円やドルなどの実際の通貨と交換して入手する。安い手数料で決済や国際送金ができ、急速に普及している。

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