[東京 20日 ロイター] - 日銀の雨宮正佳、若田部昌澄の両副総裁は20日、日銀本店で就任の記者会見を行い、ともに2%の物価安定目標の実現に向けて強力な金融緩和を継続する姿勢を強調した。具体的な政策手段では、雨宮氏が物価2%実現前の金利目標引き上げの可能性について「理論的には排除していない」としながらも、「議論は時期尚早」と指摘。若田部氏は「時期尚早な政策変更は回避すべき」とし、「必要ならば追加緩和」とあらためて主張した。
<雨宮氏、金利調整「理論的には排除せず>
両副総裁とも物価2%目標の実現の必要性を強調し、そのために現在の長短金利操作付き量的・質的金融緩和政策を継続していく方針を表明した。
雨宮氏は物価2%目標の実現に重要な要素として、需給ギャップ、予想物価上昇率、賃金の3点を挙げ、特に「重要なファクターは需給ギャップの改善」と指摘した。
経済全体の需給ギャップの改善によって、実際の物価が上昇することで「それが予想物価上昇率にも影響を与え、労働需給のひっ迫を通じて賃金にも影響が及ぶ」とし、「需給ギャップの拡大基調を維持するには、強力な金融緩和を粘り強く続けていくことが最も重要」との考えを示した。
経済・物価情勢が改善を続ける中で、物価が2%に達する前にイールドカーブ・コントロール(YCC)政策における現在の短期金利をマイナス0.1%、長期金利をゼロ%程度に誘導する目標を引き上げる可能性について「(YCCは)金利ペグ(固定化)」ではないとし「概念的、理論的にはイールドカーブの調整を排除していない」と語った。
もっとも、そうした政策調整は「2%の物価安定目標の実現可能性との関係で議論していくべき」と述べ、「今の段階で、2%実現前にそうしたことを議論するのは時期尚早だ」と強調した。
<若田部氏、追加緩和手段は言及避ける>
若田部氏は、デフレからの完全脱却を目指し、現在の「金融政策のスタンス、レジームを堅持すること、可能であれば強化することが最も大事だ」とし、「必要ならば、躊躇なく追加緩和を行うべきだ。そのことによって、デフレ脱却というこれまでの悲願が達成できる」と主張した。もっとも追加緩和の具体的手段については今後の金融政策決定会合で議論するとして言及を避けた。
物価目標の実現に向けて「時期尚早な政策の変更は回避すべき」と指摘。2%実現前の金利調整の是非については「2%を達成するということで日銀は金融政策をやるべきだし、やっている。そのもとでいろいろな政策は、その時々で判断される」とし、「政策の技術的な問題であり、現段階でコメントは控える」とした。
竹本能文、伊藤純夫 編集:田巻一彦
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