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日本年金機構は2018年3月20日に記者会見を開き、年金受給者から提出された扶養親族等申告書のデータ入力の委託先業者が無断で業務を中国の関連会社に再委託していたほか、合計で約95万2000人分の入力ミスがあったと発表した。日本年金機構の水島藤一郎理事長は「大変ご迷惑をおかけした」と陳謝した。
委託先業者であるSAY企画は中国・大連の関連会社に申告書の氏名の漢字とフリガナのみを切り取った画像データによる入力をクラウド上で再委託していた。入力ミスがあったのは同社が国内で作業していたものだが、何人分のデータ入力を再委託していたかはまだ不明という。
同社は2017年8月に一般競争入札で2017年度で約528万人分の扶養親族等申告書・個人番号申出書のデータ入力や画像化の業務を受託。契約で再委託の禁止や国内で業務を行うと決められていた。2017年10月に業務を開始したものの、年金機構は同年11月以降の検品でミスが見つかったため是正を求めていた。
年金機構によると2017年12月末に年金機構に法令違反の通報があり、再委託していることが分かった。年金機構は2018年1月から特別監査を実施。情報セキュリティ支援のため日本IBMにフォレンジック調査などを依頼して、個人情報の外部流出などの問題はないと確認した。水島理事長は「業務に耐えられる設備や人員を保有しているか確認していなかった」と陳謝し、入札参加資格を3年間停止するほか、法的対応も検討するという。
年金機構によると、同社は年金受給者が2017年12月までに提出した「扶養親族等申告書」について入力を誤り、2018年2月の年金支払い時の源泉徴収額の誤りが約31万8000人に上る見通し。源泉徴収税額に影響があった人数は3月26日をめどに確定して公表する。
同社の入力漏れによって2018年2月の年金支払い額が最大5万円少なかった受給者が8万4000人に上った。このうち6万7000人分は年金機構が入力作業を行って3月15日の支払い時に源泉徴収額を還付したが、1万7000人分は4月の支払い時に調整してお詫びの文書を送る。また、2018年1月に年金機構が年金受給者に送った2017年度分の公的年金等の源泉徴収票の約55万人分の氏名が誤っていた。同年1月末に正しい源泉徴収票を再送した。
扶養親族等申告書はマイナンバー制度によって様式が大幅に変わり、受給者の未提出や記入ミスが続出。年金機構は提出期限を2017年12月中旬まで延長していた。水島理事長は問題の公表が遅れた理由について、「委託先業者の作業の遅れで全体の件数管理が困難になり、年金機構が十分な体制になっていなかった」と述べ、外部委託契約や監査体制などを見直すと語った。
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